経済
フリーク・ヴァーミューレン『ヤバイ経営学』を読んだ。 実に面白い本。 気になった所だけ書いていく。 会社にいる人間の行動を調べてみたら、けっこう彼らは、会社のデータ(数字)を無視して、代わりに経験や質的な評価、直感によって判断している(32頁…
ハジュン・チャン『世界経済を破綻させる23の嘘』を再読した。 やはり、面白い。 特におもしろいと思った所だけ、書いていく。 アダム・スミスが、株主が有限責任しか負わないということで株式会社を批判したのに対して、マルクスは株式会社を擁護した(36…
松尾匡『対話でわかる痛快明解 経済学史』を読む。 ライトなつくりになっていて、読みやすいが、中身はしっかりしている。 マルクスは、自分自身の字も読めないことがあり、実際に『資本論』第2巻の序文で、エンゲルスもそう書いている(66頁)。 こんな感…
竹森俊平『国策民営の罠』を読む。 実に読み応えのある良本だが、Web界隈では、書評が少ない気がする。 内容については、こちらの評をお勧めしたい。 内容のまとめとしては上の評でいいと思うので、それで終わりにしてもいいのだが、それじゃ何だか芸がない…
■複利効果は大抵、「不平等」を生む(手持ち資金と時間は有限ですので)■ 株式投資は、複利効果によって「ひとり勝ち」を生みやすい (某書より引用)■流動性はいわば、選択権なのですよ■ 将来の経済変化についていろいろな不安があるときには、とにかく、いつで…
■「小さな政府論」者が消費税を選好する場合の理由の一つ■ 所得税は納税者の申告によらざるをえない。それがうまく実行されるかどうかは一つには納税者の善意と、一つには徴税官吏の検査査定能力の二つの条件にかかっている。 (某書より引用)■植民者たちに都…
■ケインズと「予想」■ 「先生! ラディカル・エコノミストは、ケインズ派は『予想』行動を国民所得理論に有機的に組み入れていないと批判しています。それではケインズ派が『予想』行動を理論化できなかった理由は次の(1)から(4)までのどれでしょう? 」 […]…
■供給が、人の欲求を駆り立てるとき■ 流通は自由をその原理とし、支配主体の定められぬ「無主」の都合により民主の形を取るので、よけいに自在に、障壁に妨げられず、まさしく融通無碍に、人の生活を貫いて流れる。もっぱら人の欲求に仕えるものと触れ込みな…
猪木武徳先生が、復興費用の調達のため、消費税の臨時増税も検討しているらしい。 で、今月の『中央公論』で、自らに寄せられた反論に対して、反批判をしている(猪木武徳「デモクラシーの病が経済を混乱させる」)。 普通に考えると、日銀引き受けでも問題…
岩田規久男『デフレと超円高』を読む。 良書評として、『事務屋稼業』さんのこちらの記事も御参照ください。 「実質実効為替レートでみると、現在は円高ではない。」 このような発言は、デフレは問題じゃないよ、といっているのと一緒(62頁)。 真顔で言…
原田泰『日本はなぜ貧しい人が多いのか』(2009年)をまた読む。 著者は、日本は、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、のように、生活保護の給付水準を引き下げて、生活保護を受ける人の比率を高くすべきだ、という(96頁)。 イギリスやフランス、ド…
原田泰『日本はなぜ貧しい人が多いのか』を読む。 著者とスタンスを同じくする人も、そうでない人も、是非ご一読いただきたい。 政府が、産業に出来ることについて(24頁)。 日本政府が国内産業に出来ること。 何をすればいいのか、実は学問的に、良く分か…
飯田泰之,坂口孝則『経済とお金儲けの真実』を読む。 目次を見ると「釣り」が多いけど、指摘は比較的マトモですw 経済(マクロ)とお金儲け(ミクロ)の関係を、主題にした珍しい(?)本かも。 それにしても。この本にも、戸籍法がなぜ未だに残っているのか分から…
三品和弘『経営戦略を問いなおす』を読む。 日本とアメリカの大企業のことばかり書かれている。 まあ、好著ではある。 顧客を前にして、売上目標を語る愚かしさ(34頁)。 顧客第一とかいっておきながら、その第一であるはずの顧客満足(目標)が、売上目…
丸川知雄『「中国なし」で生活できるか』を再び読む。 欧米の場合、企業が発展途上国の労働者を酷使して製品を作ることには批判的。 そうした批判を受けないように、中国に生産拠点を置く欧米企業は、?労働者の作業環境を整え、?環境汚染に気を配り、?従業員…
伊東光晴『現代に生きるケインズ』を読む。 著者は、ケインズは乗数効果にも懐疑的で、IS-LM分析にも否定的だったという。 例えば、乗数効果にしても、「直接的雇用が、全体として、どの程度の雇用増をもたらすかと言う統計的推測」にすぎないのであって、「…
飯田泰之『ダメな議論』を再読。 「経済評論家が用いる『必ず当たる予言』のコツは、『いつまでに』という期間か、『日経平均で何円程度』という幅のいずれかを曖昧にするところにあります。」(35頁) なるほど、こういう人たちを、俗に"ソエジスト"って…
■「食料自給率」?その前に「エネルギー自給率」だろw■ 日本における、「食料自給率」という奴のおかしさについては、良く知られている所。 Wikipediaを読んでみるだけでも、 飼料自給率の低さ(1980年代以降、20%台で推移。2005年時点で25%)が、畜産製品の…
某年某月某日 なにやら、連帯保証人制度について話題になっているらしい。残念ながら本制度について知っていることは少ない。 でも昔、読んだ本の、メモしたものがあった。吉田猫次郎『連帯保証人(宝島社新書)』。なので、これを以下に記してみたい。 それに…
今回も書評代わりに、はてブのコメント風に、読んだ本の感想を書いてみたいと思います。 今回は、神門善久『さよならニッポン農業』(2010年)から、特に気に入った箇所を抜き出して、コメントしてみました。(以下、冒頭に""付けされた箇所は、本文からの引用…
新年です。書評代わりに、はてブのコメント風に、読んだ本の感想を書いてみたいと思います。 今回は、ポール・クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』(2003年、山形浩生訳)から、特に気に入った箇所を抜き出して、コメントしてみました。(以下、冒頭…
以下に書くのは、はてブでのやりとり。主に、かの『「デフレ」の正体』の内容に関する事柄です。やり取りは、人口減少が日本経済に甚大な影響を及ぼしている、という思想をお持ちの方とのものです。こちらの立場は、人口衰退(及び少子高齢化)はそれほどま…
イエス・キリストの語ったという 聖書の『ぶどう園の労働者のたとえ』です。こちらの拙稿「社会保険と労働時間 -ベーシック・インカムを唱える前に- 濱口桂一郎『新しい労働社会』(5)」のコメ欄をきっかけに、その存在を知りました。読んでいくらか感想が…
以下、前回の記事の続き。 ■マクロ経済学と期待■ 三点目。藻谷氏は「投資が腐る」なる表現を用いて、ファイナンス理論は期待収益の概念があるのに既存のマクロ経済学は貯蓄があり、投資がなされればとにかく経済成長するという前提を敷いてはいないか?とい…
藻谷浩介『デフレの正体』というの本が、結構売れているようです。しかし、そのリフレ政策に対する批判は、正直、拙劣な部類です。でも探してみたのですが、ウェブ上に、本書に対する批判はあまりないようです。 例外として、「藻谷浩介 著『デフレの正体 経…
■再分配とリフレの関係■ 「左翼的価値観の望むことを実現するためには、不況の脱却は必要条件だということです。十分条件ではないかもしれないが、必要条件」という松尾匡先生のご意見です(注1)。再分配という問題についてなら、まったくその通りです。 …
■貨幣がもたらす、「決断の留保」という甘い毒■ その多機能性こそが「貨幣」の魅力なのであるが、その機能の使い方を一歩間違えると、社会に災いをもたらす「疫病」のような存在にもなりかねない (67頁) 優柔不断という甘美な果実を与えてくれるからこそ…
もうすぐ八月です。まあ、月日とは関係なく、小島寛之『容疑者ケインズ』など読んでみるとしましょう。おさらいということで。■乗数効果と、「よい」公共事業■ (引用者注:小野善康の論文をまとめて曰く、) 政府が税金から二兆円を使って公共事業を行って…
「熱帯夜に、「アンチ・リフレ派」をからかってみる -「上手い話」じゃなくて「常識」です-」の続きです。 リフレ派の主張って言うのは、「上手い話」じゃなくて、いわば「常識」なのです。プロトタイプな「アンチ・リフレ」発言する人というのは、「常識」…
以前、リフレ派に対する反論などに対して、反批判(の紹介)を行いました。しかし、世の中には、まだまだ「アンチ・リフレ派」がいらっしゃるようです。典型的(プロトタイプ)な反論が寄せられている様なので、本の紹介なども含めて、書いてみようと思いま…