2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

外国人犯罪に対する正しい態度 番外編(4)草野厚『政権交代の法則』

■80年代後半における外国人犯罪とグローバル化の関係(の続き)■ 87年から93年にかけての来日外国人の一般刑法犯の検挙人員の方が増加傾向にあり、それ以降一般刑法犯の検挙人員のなかで来日外国人が2%程度の割合を占めることとなります。しかし、8…

外国人犯罪とグローバル化 番外編(3)草野厚『政権交代の法則』

■来日外国人犯罪増加・凶暴化論へ反論してみよう■ 来日外国人犯罪増加・凶暴化論への反論、早速やってみましょう。凶悪犯(殺人・強盗・強姦等)における来日外国人の割合は2004年で5.6%とされていますが、一般刑法犯の2.3%に比べると、2倍以上です。 2…

外国人犯罪「凶悪化」はほんとうか 番外編(2)草野厚『政権交代の法則』

■「凶悪化」の実態■ 「特に凶悪犯罪等が犯罪白書で問題視されている」という風にWikipediaでは言われています。実際どうなんでしょう。 過去データですが、警察庁統計の中の「来日外国人犯罪の検挙状況(平成16年)」によると、平成12年から16年まで、「…

「来日外国人の犯罪」を問題にする前に 番外編(1)草野厚『政権交代の法則』

■来日外国人の「犯罪」■ 「来日外国人による犯罪も、過去一〇年間で二倍になったことが犯罪白書(〇七年版)からも読み取れる。」(207頁)と述べています。なんか、アバウトな言い方です。本当でしょうか。軽く調べて見ましょう。 まず確認しないといけ…

民主党シンパじゃないが政権交代はさせたい人へ 草野厚『政権交代の法則』(2)

■公平な視点■ 本書詳細については、ご自分でお読みくださいとしか言いようがありません。所々、有益な情報が入っていたりするので、ディテールも楽しめるはずです。 例えば、番記者が、派閥のメッセンジャーとして機能した面があるといいます。「安倍首相が…

さよなら「擬似政権交代」、あるいは自民党「派閥」の歴史 草野厚『政権交代の法則』(1)

・草野厚『政権交代の法則 派閥の正体とその変遷』角川グループパブリッシング (2008/8/10)■骨子のみの要約■ 本書を要約すると、こんな感じでしょうか。 著者は「ねじれ国会」出現の後の、従来の自民党による「擬似政権交代」の限界を指摘します。そして、い…

【自己責任論=精神論】と「濫給」問題 湯浅誠『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』(5)

■マクロ経済からの視点■ ならばどうすればいいのでしょうか。「自己責任論批判の作法と戦略」(『こら!たまには研究しろ!!』様)の意見は、これまでの説得法とは別のものです。「若年失業率がこれほど高く,有効求人倍率も悪化の一途をたどるなかでは全員…

自己責任論者への説得方法を考える 湯浅誠『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』(4)

■「溜め」を用いても説得は難しい■ しかし、努力というものは、その範囲が過剰に求められがちです。たとえ、「溜め」が恵まれない境遇でも、これを努力で乗り越えろ、という風な考えは残存します。これが、無責任な発言なら、無視してもよいのです。 しかし…

自己責任論における「努力」の問題 湯浅誠『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』(3)

■「溜め」による自己責任論批判■ 本来、昨日分で書評の範囲は終わっているのですが、一応重要なことですので、自己責任論における「努力」の問題、及びその他について少しだけ書きたいと思います。 自己責任論に対する著者の考えは、wikipediaに概要がありま…

なぜ日本には、「シェルター」が少ないのか -宗教に関して- 湯浅誠『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』(2)

いつ経済的な転落を経験するかも分らない身の上ですので、備忘録のように、本書の内容を書いていきました。しかし、本書の内容は、いかに生活保護の申請をするか、ということにとどまりません。この本の著者は、「自立生活サポートセンター・もやい」の事務…

借金があっても生活保護は受けられる 湯浅誠『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』(1)

どうすれば生活保護を勝ち取ることができるのか湯浅誠『あなたにもできる!本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』同文舘出版 (2005/08) 実のところ、本書の内容については、『京都府職員労働組合』の頁に、書いてあります。抜粋すると、・その1 生…

保守(ホシュ)主義へのイロニカルな礼賛 斎藤美奈子『それってどうなの主義』(3)

■教育基本法について(の続き)■ なるほど。実に素晴らしい意見だと思います。まず、「左翼教師」に、生徒に「平素は国旗・国歌を無視する「心」を教え続ける」方法を暗に教えてやり、第十条の「教育は,不当な支配に服することなく・・・」と言う条文がまだ…

自然離れと教育基本法 斎藤美奈子『それってどうなの主義』(2)

■自然離れについて■ 通常、子供の自然離れの原因としては、子供の周りの自然の少なさが、よく指摘されていました。しかし、著者は、岡田朝雄氏の意見を引いて(192頁)、次のように言います。「1970年代以降、列島改造論によって開発が進むとともに、…