2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「イタリアの男はマザコン」という神話について ファビオ・ランベッリ『イタリア的考え方』(3)

■「マザコン」幻想と、偏見の問題■ 多くの西欧人にとって日本の男性はマザコンが多いというが、これもまたオリエンタリスティックな態度を表すと思う。 (145頁) 著者は、【イタリア人男性=マザコン】という、日本人のもつイメージに対して、次のように…

イタリアにだってマイノリティはいます ファビオ・ランベッリ『イタリア的考え方』(2)

■イタリアにおける多様なマイノリティ■ イタリアには(略)イタリア文化圏に属さない、異民族のイタリア人も住んでいるのである。 (82頁) よくよく考えたら、イタリアにもマイノリティはいるんです。 ざっと見ていきましょう。まず、シチリアとサルディ…

イタリアにおける原子力と、「南」への搾取 ファビオ・ランベッリ『イタリア的考え方』(1)

・ファビオ・ランベッリ『イタリア的考え方 日本人のためのイタリア入門』(筑摩書房 1997/2)■産業と科学技術:美術だけじゃないイタリア■ イタリアは世界で五番目か六番目の産業大国で、(略)イタリア人の研究者は芸術だけでなく世界の第一線の科学・技術…

金利利上げで得をするのは金持ちだけ 岩田規久男『日本銀行は信用できるか』(3)

■「最大の雇用の達成」も、日銀の目標にせよ■ FRBの金融政策の目的は、連邦準備法によって、最大の雇用、物価の安定および長期金利の安定の促進であると規定されている。同法では、物価の安定は長期金利の安定とともに、最大持続可能な成長と雇用を達成す…

インタゲ成功のための制度的保障 岩田規久男『日本銀行は信用できるか』(2)

■ベース・マネーとマネー・サプライの間■ 中央銀行総裁が自らの金融政策の効果を殺ぐような発言をすることは自殺行為である。 (104頁) これこそ、日本におけるいかなる金融政策もが、デフレ期待のまま動かなかった理由の最たるものといえましょう。自分…

「よいデフレ論」は新聞社には好都合 岩田規久男『日本銀行は信用できるか』(1)

・岩田規久男『日本銀行は信用できるか』講談社 (2009/08)■デフレは、中国のせいか?ITの技術のせいか?■ デフレになったのは、中国から安いモノが大量に輸入されたからだとか、ITなどの技術進歩のためであるといった説明のほうが分かりやすいであろう。…

古井由吉におけるフィクションの論理  古井由吉『漱石の漢詩を読む』

・古井由吉『漱石の漢詩を読む』岩波書店 (2008/12)■漢詩の多義性■ 幽という字は暗い、かすか、それから奥深いという意味があるので、そのいずれか一つだけを取りたくないために、吉川氏はユウと読ませたのだと思います。 (27頁) 「幽」についての著者の…