2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「頑張ったのに報われない」、お役所の職員編 -打開策は「お褒めの言葉」と「宣伝」?-

またしても、山本直治『実は悲惨な公務員』を読む。 仮にある役所が、本当に必要な政策ができて、翌年組織と定員を拡充したいと考えたとする。 でも、昨今の財政難もあって、そう簡単にできない。(著者曰く、政治的な決断があれば別らしい) そこで、人員や…

人手不足な公務員職もあるよ -国家公務員の"天下り"問題とか、地方・中央のアンバランスな件とか-

山本直治『実は悲惨な公務員』を読む。 ただ、タイトルが正直釣りで、正式タイトルは、「実際のところ、公務員ってどうよ?」みたいな感じ。 でも中身はマトモな本です。 んで、中身。 外郭団体の職員を含んだ、政府部門の就労者数は、国税庁がまとめた源泉所…

製造してる国の労働環境より、製造してる商品の安全性 orz な日本国 -あと、輸入品と雇用について-

丸川知雄『「中国なし」で生活できるか』を再び読む。 欧米の場合、企業が発展途上国の労働者を酷使して製品を作ることには批判的。 そうした批判を受けないように、中国に生産拠点を置く欧米企業は、?労働者の作業環境を整え、?環境汚染に気を配り、?従業員…

農業と「食の安全」の実情について -自給率と食中毒-

丸川知雄『「中国なし」で生活できるか』を読む。 まあ、結論から言うと、現状できない。 幾つか面白い所を取り上げたい。 例えば、無農薬・減農薬に向いているのは、むしろ中国というお話。 山東省は日本向け野菜の最大の産地に当たる。 日本より乾燥した気…

英語が訛って何が悪いか!! -World Englishesのニホン英語のすすめ-

末延岑生『ニホン英語は世界で通じる』を読む。 ニホン英語に対する批判として、「日本人の英語のレベルが落ちる」という噴飯ものの批判があるらしい。 これに対する著者の反論はこうだ(114頁)。 じゃあ、そう心配する日本人の英語のレベルはどうかのか…

社会民主主義、あるいは「社会」と「民主主義」の相克と和解について -信頼の構築-

進藤榮一『敗戦の逆説』を、またしても。 著者は、日本戦後の自民党と(戦前から持続する)中央集権的官僚制による支配には批判的。 一方で、戦後占領期の"財閥解体"と"持株会社の禁止"には肯定的で、それによって達成された"中小企業の育成・強化"は擁護して…

戦前からあった中ソの溝と、"有条件降伏"の愚かさ -第二次大戦の挿話-

進藤榮一『敗戦の逆説』を再び読む。 米国側の守旧派と変革派の抗争は、日本に対してだけでなく、中国にもあった。 そこで、興味深い点がある。 中ソという共産主義国に対する見方である。 前者は、中ソを一枚岩と見たのに対して、後者は各々が一枚岩などで…

"知日派"の実像と、ニューディーラーたちの抗争 -対日占領政策の政策的抗争をめぐって-

進藤榮一『敗戦の逆説』を読む。 憲法押付け論(例えば、江藤淳)でもなく、かといって、"米国知日派と日本の知米(英)派との融和的共同作業"と言った主張(例えば、五百旗頭)とも違う"占領論"を、著者は説いている。 前者は、米国側が対日懲罰的なハードピ…

周回遅れの「反ケインズ派」批判(?) -あるいは、"リフレの父・ケインズ△というお話"-

伊東光晴『現代に生きるケインズ』を読む。 著者は、ケインズは乗数効果にも懐疑的で、IS-LM分析にも否定的だったという。 例えば、乗数効果にしても、「直接的雇用が、全体として、どの程度の雇用増をもたらすかと言う統計的推測」にすぎないのであって、「…

「友軍砲火」、あるいは官僚答弁的な戦争のレトリック -あと、議論の作法について少し-

ロバート・J・グーラー『論理で人をだます法』を読む。あの山形浩生訳。 レトリック本の網羅版といった印象。 気になった所をとりあえず二つだけ。 60頁。軍のスポークスマンの声明が、事例として出ている。 「昨晩、第43大隊は一連の防衛的行動を実施…

『プロポ』のアラン、その母と母論  -アランと両親に関して-

先にも述べたように、アランは愛の原形を母子の関係に求めました。母親にとっては生まれてきた子供は選択の余地がないものです。どの母親も、「この子はかわいくないから愛さない」などといいませんし、「ほかの子と取り替えよう」などといいません。子供が…

貯金だって、実は「贅沢」なんですよね。 -あとついでにバブルについて-

飯田泰之『ダメな議論』を再読。 「経済評論家が用いる『必ず当たる予言』のコツは、『いつまでに』という期間か、『日経平均で何円程度』という幅のいずれかを曖昧にするところにあります。」(35頁) なるほど、こういう人たちを、俗に"ソエジスト"って…

弱者と貨幣とエリック・ホーファーと -再び『エリック・ホーファー自伝』に向けて-

エリックは言った。 「弱者に固有の自己嫌悪は、通常の生存競争よりもはるかに強いエネルギーを放出する。明らかに、弱者の中に生じる激しさは、彼らに、いわば特別の適応を見出させる。弱者の影響力に腐敗や退廃をもたらす害悪しか見ないニーチェやD・H・…

エリック、君に言っておきたいことがあるんだ -『エリック・ホーファー自伝』に向けて-

その米国人が保守主義者であるか否かを見分ける単純な方法。 それは、フランクリン・ルーズベルトに対する評価だろう。 「ローズヴェルトが大統領になる前のアメリカは、自己憐憫とはまったく無縁だった」 こう書くエリック・ホーファーは、紛れもない保守主…

これが"当事者研究"というものか!! -『べてるの家の恋愛大研究』について、少し-

"当事者研究"というものがある。 Wikipediaでの定義だと、「北海道浦河町にあるべてるの家と浦河赤十字病院精神科ではじまった、主に精神障害当事者やその家族を対象とした、アセスメントとリハビリテーションのプログラム」と言うことになる。 要は、「幻覚…

"主体思想"を北朝鮮が使い始めた頃 -中朝関係の悪化していた時期について-

「読者を選ぶという事は――資本家が顧客を選ぶのと質としては同じなんです」 この一文を、とあるブログのコメント欄で見かけた。 正直、そのブログの記事は、どーでもいい内容だったが、このコメ欄の一文は良かった。 「読者に分かりやすく書く」ということの…

困っているならどうすればいいか、なら周りも巻き込んでしまえばいい。 -"べてる"について、少し-

以下、時限的な記述 サルバドール・ダリは、「パンを克明に描こうとすればするほど、レンガになってしまう」と述べたという。 小説とは、つまり、そのように描くことだろう。 異化。 べてるの家は、極意を知っている。「人に迷惑をかけること」の。 精神障害…