2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

年休100%消化方法と、残業がデフォな労働慣行という厚い壁(ニッポンの雇用を考える) -水町勇一郎『労働法入門』雑感-

水町勇一郎『労働法入門』を読む。 実に良くまとまっている。 そして、著者の人柄も良く出ているように思う。 例えば、「労働審判審査って何?」とかいっちゃう人は、さっさとこれを買うなり借りるなりして読むべき。 興味のわいたところだけ。 会社と労働者…

「そして、謎は残った」・・・日本の雇用に潜む二重構造 (あとは職業教育について) -濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』を読んで-

濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』を読む。 内容は、前に書かれた新書である『新しい労働社会』と重複する箇所が多いが、前著が欧州との比較を意識しつつ、日本の目指すべき「新しい労働社会」への構想が書かれていたのに対して、本書は、日本の戦前〜現在ま…

戦後憲法を擁護するに至った左派 -戦後の政治の二つの軸について- 松尾匡『商人道ノスヽメ』を読んで

松尾匡『商人道ノスヽメ』を読む。 一応は、良作。 本書で解説される「商人道」は、山岸俊男の説を"参照"する形で書かれている。 山岸の説に関しては、ここと、ここの疑問点を紹介しておきたい。 個人的には素朴な疑問として、?その人の出身階層とか出身の地…

農村が「革新」的だった頃 -あと、自民党の「社民主義」の背景について- 雨宮昭一『占領と改革』を読んで

雨宮昭一『占領と改革』を読む。 本書の要点は、戦前戦後を貫く「協同主義」の存在。 この存在については、こちらの書評をお勧めしたい。 「協同主義」というのは、つまり「ソシアル」(俗にいう"リベサヨ"ではなく、欧州的な、増税と社会福祉を提唱し、「大…

マイノリティが切り開いた自由と平等の両立 -ついでに政治への無関心と憤りについて- 福田歓一『近代民主主義とその展望』を読んで

福田歓一『近代民主主義とその展望』を読む。 確かに、繰り返し読みたくなる名著。 近代の民主主義を押さえる上での基本文献の一つ。 興味深いと思ったところを。 近代民主主義の起源と、自由と平等の関係について。 二つは背反していると思われがちだが、必…