宗教

「なんでキリスト教ってあんなに広まったんだよ?」に対する田川建三の回答 -田川建三『キリスト教思想への招待』を読む-

田川建三『キリスト教思想への招待』を読む。キリスト教思想への招待作者: 田川建三出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2004/03/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (27件) を見る カール・バルトの神学について。 カール・バル…

政教分離よりも、信仰と信条の自由を! -キリスト者よりも、「自由の敵」を相手にすることに関する試論-

「日本は実は政教分離を欧米よりずっとはやく導入していたという説もあります」というコメントをいただいて、紹介された先の記事を見ました。 「福沢諭吉・新渡戸稲造・丸山眞男・森田明彦に見る、西洋コンプレックス型日本知識人の特徴」 です。 そのうち、…

西欧における仏教ブームと「アーリア人」の関係 中村圭志『信じない人のための〈宗教〉講義』(2)

■神学の論理性:科学との親和性と、異端の排除■ 神学論争が重んじられるのは、思考が観念的だからです。よく言えば理論的で明晰なものですが、悪く言えば、すべてを0か1かで割り切るデジタル思考だということです。(中略)注意してほしいのは、科学を生み…

世俗によって煽られる「宗教」 中村圭志『信じない人のための〈宗教〉講義』(1)

・中村圭志『信じない人のための〈宗教〉講義』みすず書房 (2007/5)■アジアの東部の人口は意外に多い■ アメリカとかアフリカというのが意外と小さい一方、インドと中国がやたらとデカイですね。ヨーロッパ、中近東、アフリカが細々と分かれているのに対して…

?日本人は信仰心が薄いのか、?現代人は欲深いのか? 『一Q禅師のへそまがり“宗教”論』(4)

■宗教において、急ぐことは禁物です。■ 宗教的な伝統が最も近代の世俗社会と対立するのは、実はこの時間というファクターかもしれん。神や霊魂が不合理とか、そういう問題よりも、時間意識の違いというものがいちばんのギャップとなっているのかもしれないの…

「神は妄想である」かどうか考え直す。 中村圭志『一Q禅師のへそまがり“宗教”論』(3)

今回以降、基本的に、【重要な箇所の引用(抜書き) + これに対するコメント】という形式をとります。 本書については、途中まで、書いていたもの(既稿(1)、(2))があります。今回は、その途中の部分のと重複もありますが、すべてを上記の形式で書い…

宗教は【洗脳】でも【思想】でもなく、【生活】である。 中村圭志『一Q禅師のへそまがり“宗教”論』(2)

■内面的信仰よりまず、集団内での実践がある■ 【宗教といえば信仰】と、このようにつなげて考えてしまいがちです。しかし、たった一人内面的・精神的に敬虔であることが信仰、というのが、イコール「信仰」なのでしょうか。とりわけ「信仰」と聞くと、まず、…

「神」 -たかがレトリック、されどレトリック- 中村圭志『一Q禅師のへそまがり“宗教”論』(1)

・中村圭志『一Q禅師のへそまがり“宗教”論』サンガ (2009/1)■宗教/世俗の境界線と、その曖昧さ■ イスラームとキリスト教が対立している、ということがよく言われます。「文明の衝突」等がそれにあたるでしょう。しかしそうではなく、「ある種の宗教システム…