政治
早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』を改めて読んだ。 立場はどうあれ、イスラエルとパレスチナに関心のある人は、読んでおくべき本である。*1 主に、ユダヤ系の知識人たちが、「イスラエル」にどのように向き合ったのか、という内容である。ユダヤとイ…
『政治思想史の方法』(小笠原弘親、飯島昇蔵,編)の、川上文雄「シェルドン・ウォリン―政治理論史の研究と政治理論の復権」に次のような内容が書いてある(214頁)。 曰く、ウォリンは、アレントについて次のように述べているという。 アメリカ憲法の草案…
牧原出『行政改革と調整のシステム』を読む。 ある程度、行政学の入門書とかを読んでおかないと、退屈してしまうかもしれない。 こちらに、行き届いた書評があるので、こっち読んでから本書を読むといいはず。 ブコメにも書いたとおり、「日常的な『二省間調…
■教育基本法「改正」が変えてしまったもの■ 最低限の教育の目的を定め、あとは、「あり得べからざる教育」 […] を排除するという考え方から、重要な徳目を加算していく「ポジティブリスト」の発想への転換を意味する。 […] 「あり得べからざる教育」を排除す…
■石原慎太郎における左翼性■ 石原慎太郎という人はいつまで左翼だったか調べるべきだと思うんだけど(笑)、 […] 深沢七郎『風流夢譚』(初出『中央公論』一九六〇年一二月号)をいちばんナイーブかつ左翼的に読んで「われわれ庶民に天皇制はいらない」、「痛…
吉田徹『二大政党制批判論』を読む。 正直、第3章が一番面白い。 それ以外の章は、その分、色あせてしまうくらいだ。 政党助成金。これは世界各国で導入されている。 ただ、ドイツでは、90年代に入って、政党活動の自由に抵触する可能性があると憲法裁判…
大嶽秀夫『日本型ポピュリズム』を読む。 2003年の書物。 所々面白い。 小泉純一郎は、実は、外交や防衛問題に殆ど関心のない政治家である(91頁)。 例えば、彼は、岡崎久彦(元駐タイ大使)からのレクチャーで、集団的自衛権の問題を聞いている。た…
新保信長『国歌斉唱』を読む。 内容は普通。まあ強制は良くないんじゃないかな、的な内容。 一応ちゃんとしらべてて、「緑の山河」とか「われら愛す」の話題も出てくる。 ピチカート・ファイヴの「君が代」の話も出てる。 松山千春が、君が代に敬意を表しつ…
またしても、山本直治『実は悲惨な公務員』を読む。 仮にある役所が、本当に必要な政策ができて、翌年組織と定員を拡充したいと考えたとする。 でも、昨今の財政難もあって、そう簡単にできない。(著者曰く、政治的な決断があれば別らしい) そこで、人員や…
山本直治『実は悲惨な公務員』を読む。 ただ、タイトルが正直釣りで、正式タイトルは、「実際のところ、公務員ってどうよ?」みたいな感じ。 でも中身はマトモな本です。 んで、中身。 外郭団体の職員を含んだ、政府部門の就労者数は、国税庁がまとめた源泉所…
■「複雑性の縮減」という政治家と政党の役割■ シュミッターとカールという学者は、民主主義のためには、政治的行為者の行動に一定の予測可能性が必要である、と指摘しているそうです(239頁)。著者はその主張を肯定し、民主主義には、政治家の行動がある…
雑誌『世界』2010年8月号より■小沢批判というよりも、優れた日本政治論です■ 本論は、「小沢一郎論」という題名で、確かに小沢氏への批判の側面が濃いのも事実です。しかしむしろ、日本政治全体に対する批判、という趣が、「下」では強いように思います。 実…
さて前回、中選挙区制について説明しました。 ちなみにこの制度、実質的に山県有朋がスタートさせたものです。原敬が一時期小選挙区制に戻したものの、すぐに護憲三派内閣が中選挙区制という形で、戻します(p36、37)。大選挙区と小選挙区での間を取る…
またもや国会がねじれてしまったわけですが、さて、どうしましょう。もう消費税とか以前の問題です。 そもそも、日本の議会制度自体おかしい、と思った方も多いのでは。確かに、改善すべきところ、山ほどあります。加藤秀治郎『日本の選挙 何を変えれば政治…
今度の参議院選挙では、争点の中心は、「増税」であり、特に消費税が中心のようです。これについては、既に巷間で行き渡っていることです。まあ、増税問題については別途何か書きたいと考えております。 一方で、なっておかしくないのに、ほとんど争点になら…
■公平な視点■ 本書詳細については、ご自分でお読みくださいとしか言いようがありません。所々、有益な情報が入っていたりするので、ディテールも楽しめるはずです。 例えば、番記者が、派閥のメッセンジャーとして機能した面があるといいます。「安倍首相が…
・草野厚『政権交代の法則 派閥の正体とその変遷』角川グループパブリッシング (2008/8/10)■骨子のみの要約■ 本書を要約すると、こんな感じでしょうか。 著者は「ねじれ国会」出現の後の、従来の自民党による「擬似政権交代」の限界を指摘します。そして、い…