「直リンク・無断リンク」問題について 増田真樹 『超簡単!ブログ入門』

「直リンク・無断リンク」問題について

増田真樹 『超簡単!ブログ入門 たった2時間で自分のホームページが持てる』角川書店 (2005/01)

■内容■
 本書については、ブログについて、年月を過ぎた現在では常識となっているであろう事柄が、書かれています。これをよむ際には、「ゲームの闇鍋」様や、「酒井徹の日々改善」様に掲載された書評(?)を読めば、問題ないと思います。
 今回は、本書の五一頁から五三頁にかけて書かれた「リンクと言論の自由」の章について書きたいと思います。
 著者は、「日本のニュースサイトのほとんどは、アーカイブを残しません。だからブログでリンクを張っても、時間が経てばリンク切れとな」ってしまうと、問題提起します。そして、これに類する問題が、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙で問題となったことに触れます。
 また、日本では、「未だにウェブサイト全体のポリシーとして『リンクはトップページに』と公言」しているしていることを挙げ、それしか認めない理由が、トップページは「バナーの広告料が一番高いから」だと聞き、「開いた口がふさが」らなかったといいます。「開いた口がふさが」らなかったのは、トップページはその値段に見合うほど、実はアクセスが多くないためです。著者は、そのあとで、リンクフリーが2005年現在では主流となっていることにも触れています。

■リンクフリーの現在■
 以上、おおよその内容を見てきました。
 現在では、リンクフリーの考え方が、ほぼネット上での共通認識となっていると思います。
 リンクフリーを理解するための、よいテキストとして、「『無断リンク禁止/直リンク禁止』」命令に関する想定問答集」及び、「続・『無断リンク禁止/直リンク禁止』命令に関する想定問答集」(『管理人ページ』様)が挙げられます。「無断リンク禁止/直リンク禁止」のおかしさを、楽しく、わかりやすく指摘しています。中身を少し見てみましょう。
 「相手がリンクしないで欲しいと言うのならしないのが社会常識」だろう、という意見には、

 作品を公開する際には読者などの受け手にあれこれ命令をしないのが社会常識であり、マナーであると思います。
 例えば、買った本に「この本を作者の許可なく他人に紹介してはいけません」と書いてあったら、それに従わないと非常識なのでしょうか?

と真の常識を教えてやります。
 リンクされるのは、「ひどい嫌がらせだと思います」という意見には、

 例えるなら――私は青い服が嫌いなんです。それなのに、街を歩くと青い服を着た人がいるんです。これってひどい嫌がらせだと思います――そんな感じでしょうか。

と、わかりやすいたとえをつかって諭します。
 「コンテンツに直リンクされると、注意書きを読まないで閲覧者が入ってくることになる」というわけしり顔のやつには、一定の共感を示しつつも、

 検索エンジンでやって来る人も予想される以上、管理人は「最初に読まれるべき」と考える注意書きはどこから閲覧者が来ても目に付く場所に書いておくか、あるいは各ページからリンクしておいた方がいいのではないでしょうか。

と、再考を促します。
 「トップページ以外はアドレスが変わることがあるから、直リンクをしてはいけない」という親切な人には、

 別にあなたがそんな心配をする必要はありません。
 あなががもしも本当にリンクする側のためを思うなら、トップページ以外のアドレスもなるべく変えないようにしましょう。

と、本当の親切とは何かを教えてやります。
 「すべての内容を当方でチェックすることが不可能なため、個人サイトからのリンクについては、基本的にお断りしています」という気を回しすぎの人には、

 それはあなたの希望であって、あなたがすべきことです。あなたの勝手な希望に他人を付き合わせるのはお止め下さい。
 ちなみに、他者の発言を事前にチェックして発表の可否を決定するというのは一種の検閲でしょう。

と、検閲となる可能性を指摘しつつ、気を落ち着かせてやります。

■それでも「無断リンク禁止/直リンク禁止」なら■
 上記を見てわかるように、「無断リンク禁止/直リンク禁止」は、法的には無論のこと、管理者のせめてもの「お願い」程度としてだけ表示可能なのです。もちろん、リンクを張る人は、基本的には、それを無視できるのです。
 それでも、「無断リンク禁止/直リンク禁止」を望むなら、「直リンクを防ぐには?…禁止と言っても無駄」(『ALL ABOUT』様)のいうように、技術的な面で対抗すべきでしょう。「Voice of Stone」様によると、

 海外のメジャーな検索エンジンでも robots.txt や meta name="robots" content="noindex" などの取り決めで無断リンクを防止できるのだった。

ということですから。
 面白い方法としては、『Geekなぺーじ』様の提唱する「URLそのものが芸術性のある何かになってしまえば良い」という、著作権を利用する方法もあります。もちろんこれはネタだそうですが、本気でやってくださるがいたら、教えてください。

■勝手にリンク■
 最後に、この中身のない本稿の終わりに、何かやってみようと思います。『食うべき詩』様は、

 リンク・フリーを強く主張する人々がターゲットにすべきは、影響力の小さな個人ブロガーじゃなくて、企業・団体のほうなんじゃないかと思うのです。前からそう思っていました。

と、現今のリンクフリーの風潮の一方、まだの企業・団体のサイトへのリンクフリーの浸透振りが遅いことを指摘しています。
 無論、気弱なことこの上ない本ブログでは、そのような真正面からの抗議活動などしません。正面を避けた、無意味な抗議行動でお茶を濁したいと思います。
 まず、『ANA』様。

 リンク設定箇所については、ホームページのトップページ「http://www.ana.co.jp/」のみとします。
 リンク設定の際は、本内容を同意の上、必ず指定フォームにて送信してください。バナーをご使用になられる場合は使用の有無を記入していただき、当ページ下の<バナー使用ガイドライン>に従いお使いください。弊社にて2週間以内に検討し回答させて頂きます。この場合、弊社からの回答があるまでリンク設定はご遠慮願います。
(中略)
● リンク登録許可後トラブル防止の為、貴サイトが当リンクガイドラインに掲載しているような内容に合致していないと弊社で判断した場合にはご連絡後、2週間以内にリンクを外して頂く場合がございます。

とのこと。無論お断りです。上記自体、無断リンクかつ直リンクです。
 日弁連へのものはすでに『食うべき詩』がなさってしまったので、『文化庁メディア芸術プラザ』様へのリンクを。

 文化庁メディア芸術プラザへのリンクは、基本的にフリーですが、いくつかお約束いただく事項がございます。

 文化庁メディア芸術プラザにリンクを張る際は、そのホームページの内容とアドレス、お名前、ご連絡先を記載して、お問い合わせページのフォームからお知らせください。文化庁メディア芸術プラザの趣旨に合わない場合や、文化庁およびCG-ARTS協会をはじめとする主催者の事業や信用を害する恐れがある場合は、リンクをお断りすることがあります。また、いったんリンクを許諾した場合であっても、リンク許諾後に判明した事情または変化した事情により、文化庁メディア芸術プラザがリンクの許諾を妥当ではないと判断した場合、リンクの許諾を取り消す場合がございます。その点、ご了承ください。
(中略)
 原則としてトップページ(http://plaza.bunka.go.jp/index.html)に対し設定していただくようにお願いいたします。

 無論お断りです。
 最後に、ユニセフ』様。

リンクを希望される場合は、下記の『リンクについてのご注意』をお読みの上、
事前に当協会までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
(中略)