外国人犯罪とグローバル化 番外編(3)草野厚『政権交代の法則』

■来日外国人犯罪増加・凶暴化論へ反論してみよう■
 来日外国人犯罪増加・凶暴化論への反論、早速やってみましょう。

凶悪犯(殺人・強盗・強姦等)における来日外国人の割合は2004年で5.6%とされていますが、一般刑法犯の2.3%に比べると、2倍以上です。

 2004年時点での、日本全体での一般刑法犯の検挙人員は約38万9千人で、内凶悪犯が7519人で比率約2パーセント。来日外国人の一般刑法犯検挙人員が8898人で、内凶悪犯が421人で、約4.7パーセント。確かに、比率は来日外国人のほうが大きいようです。来日外国人の一般刑法犯のなかには、「凶悪犯」が多い、といえないこともないようです。
 しかし、外国人登録者数で計算した場合は、どうでしょうか(「外国人登録者数」を使用せざるを得ない理由については、。ここを参照)。2004年時点での外国人登録者数は約197万人です。ですから、凶悪犯の比率ばかりを考えすぎるるのもどうかと思います。
 計算すると、外国人登録者数の中における一般刑法犯検挙人員の割合は、約0.45%で、外国人登録者数における「凶悪犯」の割合は、約0.021%。枕を高くできる割合ですよ。くれぐれも、適切な認識と対処を、願う限りです。 (注1)

■80年代後半における外国人犯罪グローバル化の関係■
 次に、こんな意見

過去10年だけではなく過去20年を調べてみますと、来日外国人の一般刑法犯は、84年が1,301人、94年が6,989人、04年が8,898人です。 過去10年で27%増ですが、20年前から比べると6.83倍です。

だそうで。「日本の刑法犯のうち“来日外国人”の占める割合ですが、84年0.29%、94年2.27%、04年2.29%。 過去10年では変わりませんが、過去20年では7.9倍となります。」と言う意見も同じでしょう。
 20年というスパンで考えよ、ということでしょうか。「図録外国人犯罪の推移」(『社会実情データ図録』様)を見てみましょう。
 確かに、87年から93年にかけて急激に、来日外国人の一般刑法犯の検挙人員が4倍に増加し、日本全体の一般刑法犯の検挙人員の割合も、0.5%から2.4パーセントに増加しています。87年の外国人登録者数が約80万人から、20年後に約130万人に増加していますが、割合は、やはり、来日外国人の一般刑法犯の検挙人員の方が増加しています。
 しかしこれを、単純に増加云々と大騒ぎするのは早計でしょう。むしろ、これはこの時期から来日外国人に「質的」な変化が起こったと見るべきです。上記の「図録外国人犯罪の推移」では、「港湾を出入りする貨物の中で国内貨物と貿易貨物との動きから1984年をグローバリゼーション元年」と述べています。
 このころから、日本もいやおうなしにグローバル化の波に巻き込まれ、外国人労働力を頼る社会構造を持ち始めたと見るべきでしょう。そして、流入してくる外国人の質的変化や、これまでいた外国人の日本における環境の変化が、このときあったと見るべきでしょう。単純に来日外国人犯罪の凶悪化云々を言う前に、先にこのように考察せねばなりません。次回、これを検討しましょう。

(続く)



(注1) 当たり前のことながら忘れがちな、大多数は犯罪に関係していない人だ、という事実を再認識するには、「在日コリアンを追い出せば犯罪激減?その1」(『ホンマかいな在日特権?』様)をお読みください。曰く、

すると在日コリアンで犯罪と無関係(としておきます)に生活をしている人の割合は全体の99・3%となります。/一方、日本人は99・7%が無関係とります。/(※再犯率や懲役中の人数などを考慮するとこの数字よりかなり少なくなるでしょう)/その差は0・4%です。/1・004倍です。

とのこと。当たり前ですが、重要な事実です。大半の外国人は、犯罪に関係しておらず、それは、日本人とたいして変わらないことなのです。

2009/1/10 内容修正済