供給が、人の欲求を駆り立てる

■供給が、人の欲求を駆り立てるとき■

 流通は自由をその原理とし、支配主体の定められぬ「無主」の都合により民主の形を取るので、よけいに自在に、障壁に妨げられず、まさしく融通無碍に、人の生活を貫いて流れる。もっぱら人の欲求に仕えるものと触れ込みながら、やがて主従の転倒が起こり、人の生活をその端末として支配するようになる。供給による需要の支配という逆転である。 (某書より引用)

■一夜に十万に近い人間が焼き殺された■

 始業と言えば、戦時中に私の通っていた小学校、国民学校ではその合図にベルが鳴らされていたが、ベルが鳴り出すと生徒たちはどこで何をしている最中だろうと停まり、直立不動の姿勢を取って、ベルの成り終るまで目をつぶっているよう命じられていた。戦時統制の一環であるが、 […] 音が止んで、所定の位置へ駆け出る時には、子供ながらに動員の心になっていた。朝礼のたびに戦地での死が説かれた時代だった。数ヵ月後には同じ東京の江東深川を中心に、一夜に十万に近い人間が焼き殺された。 (某書より引用)

■ハメットの探偵社時代■

 ピンカートン社のオプ時代、一九一七年に、ハメットはビュートの町で、スト破りの傭兵として働いたことがあり、 […] そして同じ年に、ハメット自身もかかわりがあった、組合リーダー、フランク・リトルのリンチ事件。 (某書より引用)