科学者「自分は直接関係ないから分からない」

原子力村の由来■

 原子力産業 […] この世界では最初から推進・反対の色分けが重要で、推進者はインサイダー、反対者はアウトサイダーとして締め出されていく。 […] このような特徴は、国際的に原子力産業には共通で、おそらく軍事開発から始まり常に軍事的に機微な側面を抱えるこの技術の性格と、産業が技術の成熟を待たずに強引に政治的に形成されてきたことから来ているにちがいない。しかし […] 日本の原子力産業の閉鎖性と構成する個々人の判で押したような均質性は世界的にもとくに異常である。 (某書より引用)

■科学者「自分は直接関係ないから分らない」■

 私にとって印象的だったのは、 […] 水俣など多くの公害の原因調査に加わった科学者が、一部の例外を除いて、風土病説やウィルス説などの仮説を立てて企業側を擁護しようとしたことだ。さらにこの点を私のまわりの科学者に向けてみても、「自分は直接関係ないから分らない」と逃げられてしまった。 (某書より引用)

■市民による「自前」の科学■

 受けとった手紙の趣旨はいろいろだった。「今のポストが不満なら、別の大学のポストも紹介できる。とにかくアカデミズムの世界から離れるな」 […] これらはおおむね善意に基づくものではあったろう。しかし、つまるところ、大学の外に学問・研究はありえない、科学にこだわるなら大学を離れるな、ということだった。
 […] 大学や企業のシステムのひきずる利害性を離れ、市民の中に入りこんで、エスタブリッシュメントから独立した一市民として「自前(市民)の科学」をする、というのが私の意向だった (某書より引用)

■言うに事欠いて。■

 頻繁に使われたのが、地域エゴという言葉だ。「迷惑施設」を引き受けるのを拒みながら、自分はその"恩恵を享受し"、日本の高度経済成長による繁栄にあずかろうとする。これはエゴだという。実際には電力の大消費地は、東京などで、これら地域は一方的な供給地域にすぎないから、「恩恵云々」は、暴論と言ってよい (某書より引用)