丸川知雄『「中国なし」で生活できるか』を再び読む。
欧米の場合、企業が発展途上国の労働者を酷使して製品を作ることには批判的。
そうした批判を受けないように、中国に生産拠点を置く欧米企業は、?労働者の作業環境を整え、?環境汚染に気を配り、?従業員の社会保険加入状況や労働時間の適正さにも目を光らせる、こういった工夫をしている。
日本企業は、確かに、こうした欧米企業の後追いで、工夫も後手後手の観は否めないよね。
殆ど場合、日本の消費者は、その商品の品質や安全性はすごく気にするけれども、生産する現場の労働環境とかは、それほど気にしない。そのため、当然、生産者側も、気にしない。
その商品の安全性とかだけを気にして、一方、他者の生活に目を配らない。これは"利己的"ではないかな。
「中国製=全部中国産」じゃない。
中国製の衣服の場合、これは布の裁断と縫製を中国でやったことを意味する。
しかし、デザインの多くは日本国内。
また、布自体は、日本製だったり、中にはイタリア製であることもある(119−120頁)。
で、定価のうち約半分は、卸売業(デザイン料含むケース多)と小売業の手に渡る。ここで雇用が生まれてる。(詳細、本書参照)
これがまず、日本のGDPに加算される。付加価値だから。
また、この布自体が日本製の場合、この布の分もGDPに加わる。
「中国製」商品からも、日本国内の雇用が生まれており、この仕事によって、GDPも膨らむ。この点には要注意。
「中国産だから、日本国内の雇用が奪われ〜」という良くある批判は、こういう点を踏まえた議論が必要。
この件については、飯田泰之『ダメな議論』でも、触れられてる。
研修・技能実習制度の問題。
日本の消費者は、この問題に鈍感。だから、不買運動すら起きない(125頁)。
現地工場の労働条件にまで目を光らせる欧米ブランドメーカーに比べて、日本の(アパレルなどの)産業は、企業の社会的責任への意識が低い。
この件の詳細は、安田浩一『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』などを。