基本近世絵画ばかりだが、日本絵画入門としてこの上ない出来である。 -安村敏信『線で読み解く日本の名画』を読む-

安村敏信『線で読み解く日本の名画』を読んだ。 線で読み解く日本の名画 作者:安村敏信 発売日: 2015/06/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文の通り、 モノをカタチづくる輪郭線と、画家たちはいかに格闘してきたのか?日本絵画の要諦は線にあ…

パスカルにとって信仰とはどのようなものだったのか、そして、彼の「差別的」なユダヤ人観について -山上浩嗣『パスカル『パンセ』を楽しむ』を読む-

山上浩嗣『パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章』を読んだ。 パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章 (講談社学術文庫) 作者:山上 浩嗣 発売日: 2016/11/11 メディア: 文庫 内容は紹介文の通り、 一見、近づきやすそうなこの作品は、しかし実際に手に…

「かわいい」を日本の専売特許とばかりみなすのは生産的ではない。その通りだ。 -阿部公彦『幼さという戦略』を読む-

阿部公彦『幼さという戦略』を読んだ。 幼さという戦略 「かわいい」と成熟の物語作法 (朝日選書) 作者:阿部公彦 発売日: 2015/10/09 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 老人も子どもも持っている「幼さ」の底力!権力の語りに抗う「弱さの声」の可能性…

オペラの歴史を知りたければ、まずはこの本から始めてみてはどうだろうか。そんなオペラ史入門書。 -岡田暁生『オペラの運命』を読む-

岡田暁生『オペラの運命』を読んだ。 オペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書) 作者:岡田 暁生 発売日: 2001/04/01 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 オペラはどのように勃興し、隆盛をきわめ、そして衰退したのか。それを解く鍵は、貴…

「結婚と家族のこれから」を考えるための良書。あるいは「やっぱり夫が家事をしていない日本」 -筒井淳也『結婚と家族のこれから』を読む-

筒井淳也『結婚と家族のこれから』を読んだ。 結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書) 作者:筒井 淳也 発売日: 2016/06/16 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 共働き社会では、結婚しない(できない)人の増加、子どもを作る人の減少といった…

「普通のお客にハーモニーはわからない。彼らはメロディーが聴きたい」、まあそうなんだよね。 -岡田&ストレンジ『すごいジャズには理由(ワケ)がある』を読む-

岡田暁生&フィリップ・ストレンジ『すごいジャズには理由(ワケ)がある』を読んだ。 すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話 作者:岡田暁生,フィリップ・ストレンジ 発売日: 2014/05/26 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り…

ちゃんと日本政府に対して、憲法の「再検討」をしてよいと指示していたのに -古関彰一 『平和憲法の深層』を読む-

古関彰一 『平和憲法の深層』を読んだ。(再読) 平和憲法の深層 (ちくま新書) 作者:古関 彰一 発売日: 2015/04/06 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 改憲・護憲の谷間で、憲法第九条の基本的な文献である議事録は、驚くべきことにこの七〇年間ほとん…

『ザ・タイガース』入門なら、まずこの本を読めば大丈夫そうだな。 -磯前順一『ザ・タイガース 世界は僕らを待っていた』を読む-

磯前順一『ザ・タイガース 世界は僕らを待っていた』を読んだ*1。 ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた (集英社新書) 作者:磯前 順一 発売日: 2013/11/15 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 ザ・タイガースは1960年代後半の音楽ブーム「グループ・サ…

共産主義のソ連と金融資本主義のイギリスが中国の抗日をあやつっている、という矛盾した見方を、当時の軍人は抱いていた -戸部良一『日本陸軍と中国』を読む-

戸部良一『日本陸軍と中国』を読んだ。 日本陸軍と中国 (講談社選書メチエ) 作者:戸部 良一 発売日: 1999/12/10 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文の通り 陸軍「支那通」──中国スペシャリストとして、戦前の対中外交をリードした男たち。革命に…

外国人に、素朴な丸太小屋風の藁で覆われた小屋みたいに言われていた伊勢神宮。 -井上章一『伊勢神宮』を読む-

井上章一『伊勢神宮』を読んだ。 伊勢神宮 魅惑の日本建築 作者:井上 章一 発売日: 2009/05/15 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 神宮はいかにして日本美の象徴となったのか 明治初年、「茅葺きの納屋」とされた伊勢は、20世紀に入り「日本のパルテ…

長髪ルックは、ウッドストックでもまだ15パーセント程度しか普及していなかった -サエキけんぞう『ロックとメディア社会』を読む-

サエキけんぞう『ロックとメディア社会』を読んだ(本当は再読)。 ロックとメディア社会 作者:サエキけんぞう 発売日: 2011/10/15 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 エルヴィス・プレスリーの衝撃的なメジャーデビューから半世紀、ロックはテレビ、…

悪臭都市だった平安京から、汲みとり式便所と京野菜の話まで(あと、その他諸々の話題) -高橋昌明『京都〈千年の都〉の歴史』を読む-

高橋昌明『京都〈千年の都〉の歴史』を読んだ。 京都〈千年の都〉の歴史 (岩波新書) 作者:高橋 昌明 発売日: 2014/09/20 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 平安の都、日本の〈千年の都〉として、今も愛される京都。しかし今の京都には、実は平安当時の…

「一億総特攻」に続かずに、残った本土の日本人が、特攻者たちを都合よく物語化した -一ノ瀬俊也『戦艦大和講義』を読む-

一ノ瀬俊也『戦艦大和講義』を読んだ。久々に。 戦艦大和講義: 私たちにとって太平洋戦争とは何か 作者:俊也, 一ノ瀬 発売日: 2015/04/07 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 1945年4月7日、特攻に出た大和は沈没した。戦後も日本人のこころに生き続ける…

少女マンガにおける少年愛・「かわいい」と権力・キャラクターの不死性(*岡崎京子論については、本稿では論じていない。) -杉本章吾『岡崎京子論』を読む-

杉本章吾『岡崎京子論 少女マンガ・都市・メディア』を読んだ。 岡崎京子論 少女マンガ・都市・メディア 作者:杉本 章吾 発売日: 2012/10/24 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 高度消費社会との応答のなかで、少女・女性像はどのように提示されたか…

御土居は、京都の内外を分ける社会的排除の象徴でもあった。(それから、「堀川ごぼう」の自生説について) -梅林秀行『京都の凸凹を歩く』を読む-

梅林秀行『京都の凸凹を歩く』を再読。 京都の凸凹を歩く -高低差に隠された古都の秘密 作者:梅林 秀行 発売日: 2016/04/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、 豊臣秀吉由来の「御土居」をはじめ、凸凹ポイントで見つめ直せば、京都のディープな姿…

「なぜおれに一〇〇メートル駆けさせないか」(by岡本太郎) そして、大商会頭の出身地から大阪経済の浮沈を思う -梅棹忠夫『民博誕生』を読む-

梅棹忠夫『民博誕生 館長対談』を読んだ(だいぶ前に読んで久しい)。 民博誕生―館長対談 (1978年) (中公新書) メディア: 新書 内容は、梅棹とゲストたちとの対談なのだが、某密林のレビューにある通り、「本書は民博完成に関った人々との対話だが、けっこう…

香港映画にはまる土星人、ダンボを愛する土星人、そして、音楽の懐が深い土星人 -湯浅学『てなもんやSUN RA伝』を読む-

湯浅学『てなもんやSUN RA伝』を読んだ。 てなもんやSUN RA伝 音盤でたどるジャズ偉人の歩み (ele-king books) 作者:湯浅学 発売日: 2014/10/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、紹介文のとおり、 土星に還った男、サン・ラーの足跡を追う惑星間音…

シェイクスピアと囲い込みの話から、『ハムレット』は「哲学」的という話まで -河合祥一郎『シェイクスピア 人生劇場の達人』を読む-

河合祥一郎『シェイクスピア 人生劇場の達人』を読んだ。 シェイクスピア - 人生劇場の達人 (中公新書) 作者:河合 祥一郎 発売日: 2016/06/21 メディア: 新書 内容は紹介文のとおり、 本書は、彼が生きた動乱の時代を踏まえ、その人生や作風、そして作品の奥…

「やさしい日本語」とはいうものの、使いこなすのは全然たやすくないわけで。 -庵功雄『やさしい日本語』を読む-

庵功雄『やさしい日本語』を読んだ。 やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書) 作者:庵 功雄 発売日: 2016/08/20 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 人口減少を背景に、移民受け入れの議論が盛んになっている。受け入れるとしたときに解決しなければ…

「異学の禁」が素読に与えた影響から、幕末明治の漢詩ブームの背景まで -齋藤希史『漢文脈の近代』を読む。-

齋藤希史『漢文脈の近代』を読んだ。(三読目くらいか。) 漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界 (NHKブックス) 作者:齋藤 希史 メディア: 単行本 内容は、紹介文のとおり、 本書は漢文の文体にのみ着目した従来の議論を退け、思考様式や感覚を含めた知…

阪神タイガース、あるいは、「野次も、関西弁なので何となく迫力がない」と書かれた時代 -井上章一『阪神タイガースの正体』を読む-

井上章一『阪神タイガースの正体』を再読。(読んだのは2001年の太田出版のもの。*1 ) 阪神タイガースの正体 (朝日文庫) 作者:井上章一 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2017/02/06 メディア: 文庫 内容は紹介文のとおり 阪神への幻想はいつどの…

エレキギターが主役になるまでの日本ギター音楽史。あと、なぜブルースといえばギターなのか -北中正和 『ギターは日本の歌をどう変えたか』を読む-

北中正和 『ギターは日本の歌をどう変えたか』を読んだ。 ギターは日本の歌をどう変えたか―ギターのポピュラー音楽史 (平凡社新書) 作者:北中 正和 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2002/06/01 メディア: 新書 内容紹介文の通り、 今や最も身近で愛されてい…

二大カリスマを通して読む黒人社会。そして、キング牧師はどのような盗作を行ったかについて -上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読む-

上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読んだ。 キング牧師とマルコムX (講談社現代新書) 作者:上坂 昇 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1994/12/16 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 対照的な二大カリスマを通して読む黒人社会。マルコムXブームの意味…

「俗情との結託」と『神聖喜劇』、から、花田清輝と異邦人論争の話まで -『大西巨人 抒情と革命』を読む-

『大西巨人 抒情と革命』(河出書房新社、2014年)を読んだ。 大西巨人: 抒情と革命 作者: 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/06/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、「先日、物故した戦後文学、最後にして最大の巨匠が遺した問いと…

「二〇一八年」以降も先の見えない日本の原子力政策、その歴史をさかのぼる。 -太田昌克『日米〈核〉同盟』を読む-

太田昌克『日米〈核〉同盟 原爆、核の傘、フクシマ』を読んだ。(*再読) 日米〈核〉同盟――原爆、核の傘、フクシマ (岩波新書) 作者:太田 昌克 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/08/21 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 広島、長崎、ビキニ、…

「京都は観光の街ではない」という話から、「『育てる』というえらそうな物言い」の話まで -鷲田清一『京都の平熱』を読む-

鷲田清一『京都の平熱』のオリジナル版(2007年)を読んだ。*1 京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫) 作者:鷲田 清一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/04/11 メディア: 文庫 内容は、 〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子となって都市の記…

「貧しい人を助けようとすると聖人扱いされ、彼らがなぜ貧しいのかを説明しようとすると (中略) 」。あと、「毎日残業するのはいけません」 -レノレ『出る杭はうたれる』再読-

アンドレ・レノレ『出る杭はうたれる』を読んだ(これで三読くらいか)。 出る杭はうたれる―フランス人労働司祭の日本人論 (同時代ライブラリー) 作者:アンドレ レノレ 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1994/03/15 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 …

サブタイトルは釣り気味ではあるが、しかし、中身は問題ない。 -今拓海『ローリング・ストーンズ』を読む-

今拓海『ローリング・ストーンズ』を読んだ。(厳密には再読) ザ・ローリング・ストーンズ〜「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」の聴き方が変わる本 作者:今 拓海 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/05/12 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、…

この本があれば、下手な自己啓発本はいらないんじゃね、ってなる -ワイズマン『その科学が成功を決める』を読む-

リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』(2010年版)を読んだ。 その科学が成功を決める (文春文庫) 作者:リチャード ワイズマン 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/09/04 メディア: 文庫 内容は、 成功する自分をイメージする方法はむ…

多声音楽は共和制、和声音楽は君主制。(あとそれから、その出典について) -芥川也寸志『音楽の基礎』を読む-

芥川也寸志『音楽の基礎』を読んだ。 音楽の基礎 (岩波新書) 作者:芥川 也寸志 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/08/31 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 さらに深く音楽の世界へわけ入るには、音楽の基礎的な規則を知る必要がある。本書は、作…