「異学の禁」が素読に与えた影響から、幕末明治の漢詩ブームの背景まで -齋藤希史『漢文脈の近代』を読む。-

齋藤希史『漢文脈の近代』を読んだ。(三読目くらいか。) 漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界 (NHKブックス) 作者:齋藤 希史 メディア: 単行本 内容は、紹介文のとおり、 本書は漢文の文体にのみ着目した従来の議論を退け、思考様式や感覚を含めた知…

阪神タイガース、あるいは、「野次も、関西弁なので何となく迫力がない」と書かれた時代 -井上章一『阪神タイガースの正体』を読む-

井上章一『阪神タイガースの正体』を再読。(読んだのは2001年の太田出版のもの。*1 ) 阪神タイガースの正体 (朝日文庫) 作者:井上章一 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2017/02/06 メディア: 文庫 内容は紹介文のとおり 阪神への幻想はいつどの…

エレキギターが主役になるまでの日本ギター音楽史。あと、なぜブルースといえばギターなのか -北中正和 『ギターは日本の歌をどう変えたか』を読む-

北中正和 『ギターは日本の歌をどう変えたか』を読んだ。 ギターは日本の歌をどう変えたか―ギターのポピュラー音楽史 (平凡社新書) 作者:北中 正和 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2002/06/01 メディア: 新書 内容紹介文の通り、 今や最も身近で愛されてい…

二大カリスマを通して読む黒人社会。そして、キング牧師はどのような盗作を行ったかについて -上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読む-

上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読んだ。 キング牧師とマルコムX (講談社現代新書) 作者:上坂 昇 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1994/12/16 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 対照的な二大カリスマを通して読む黒人社会。マルコムXブームの意味…

「俗情との結託」と『神聖喜劇』、から、花田清輝と異邦人論争の話まで -『大西巨人 抒情と革命』を読む-

『大西巨人 抒情と革命』(河出書房新社、2014年)を読んだ。 大西巨人: 抒情と革命 作者: 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/06/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、「先日、物故した戦後文学、最後にして最大の巨匠が遺した問いと…

「二〇一八年」以降も先の見えない日本の原子力政策、その歴史をさかのぼる。 -太田昌克『日米〈核〉同盟』を読む-

太田昌克『日米〈核〉同盟 原爆、核の傘、フクシマ』を読んだ。(*再読) 日米〈核〉同盟――原爆、核の傘、フクシマ (岩波新書) 作者:太田 昌克 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/08/21 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 広島、長崎、ビキニ、…

「京都は観光の街ではない」という話から、「『育てる』というえらそうな物言い」の話まで -鷲田清一『京都の平熱』を読む-

鷲田清一『京都の平熱』のオリジナル版(2007年)を読んだ。*1 京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫) 作者:鷲田 清一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/04/11 メディア: 文庫 内容は、 〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子となって都市の記…

「貧しい人を助けようとすると聖人扱いされ、彼らがなぜ貧しいのかを説明しようとすると (中略) 」。あと、「毎日残業するのはいけません」 -レノレ『出る杭はうたれる』再読-

アンドレ・レノレ『出る杭はうたれる』を読んだ(これで三読くらいか)。 出る杭はうたれる―フランス人労働司祭の日本人論 (同時代ライブラリー) 作者:アンドレ レノレ 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1994/03/15 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 …

サブタイトルは釣り気味ではあるが、しかし、中身は問題ない。 -今拓海『ローリング・ストーンズ』を読む-

今拓海『ローリング・ストーンズ』を読んだ。(厳密には再読) ザ・ローリング・ストーンズ〜「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」の聴き方が変わる本 作者:今 拓海 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/05/12 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、…

この本があれば、下手な自己啓発本はいらないんじゃね、ってなる -ワイズマン『その科学が成功を決める』を読む-

リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』(2010年版)を読んだ。 その科学が成功を決める (文春文庫) 作者:リチャード ワイズマン 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/09/04 メディア: 文庫 内容は、 成功する自分をイメージする方法はむ…

多声音楽は共和制、和声音楽は君主制。(あとそれから、その出典について) -芥川也寸志『音楽の基礎』を読む-

芥川也寸志『音楽の基礎』を読んだ。 音楽の基礎 (岩波新書) 作者:芥川 也寸志 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/08/31 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 さらに深く音楽の世界へわけ入るには、音楽の基礎的な規則を知る必要がある。本書は、作…

貧困がちゃんと見える社会こそ、成熟した豊かな社会。その通りだ。 -大原悦子『フードバンクという挑戦』を読む-

大原悦子『フードバンクという挑戦』(のオリジナル版のほう)を読んだ。*1 フードバンクという挑戦――貧困と飽食のあいだで (岩波現代文庫) 作者:大原 悦子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/03/17 メディア: 文庫 内容は紹介文の通り、 まだ十分安全…

斎藤晴彦における、ブレヒト劇とエノケンからの影響について -斎藤晴彦『〈音楽〉術・モーツァルトの冗談』を読む-

斎藤晴彦『斎藤晴彦〈音楽〉術・モーツァルトの冗談』を読んだ。 斎藤晴彦〈音楽〉術・モーツァルトの冗談 (シリーズ日常術 6) 作者:斎藤 晴彦 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 1986/11 メディア: 単行本 内容は、俳優であり、クラシックの替え歌で著名な著…

「靖国化」していた摩文仁の丘と、それから、沖縄料理が不味いと言われた時代について -多田治『沖縄イメージを旅する』を読む-

多田治『沖縄イメージを旅する』を読んだ。 沖縄イメージを旅する―柳田國男から移住ブームまで (中公新書ラクレ) 作者:多田 治 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2008/08 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 青い海、白い砂浜、穏やかな三線の音。…

連綿と受け継がれてきた、『源氏物語』へのおっさんたちの愛(ラブ) -島内景二『源氏物語ものがたり』を読む-

島内景二『源氏物語ものがたり』を読んだ。 源氏物語ものがたり (新潮新書) 作者:島内 景二 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/10/01 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 なぜ源氏物語は千年もの長きにわたって、読者を惹きつけてきたのか?本文を確…

ハーレクイン・ロマンスから、ブック・クラブまで、文学を搦手から攻める -尾崎俊介『ホールデンの肖像』を読む-

尾崎俊介『ホールデンの肖像』を読んだ。 ホールデンの肖像―ペーパーバックからみるアメリカの読書文化 作者:尾崎 俊介 出版社/メーカー: 新宿書房 発売日: 2014/10/01 メディア: 単行本 内容は紹介文にある通り、 ペーパーバック研究から横滑りして、ハーレ…

相手のことは、期待されるほどには分かっていない (あと、女神ヴィリプラカについて) -ニコラス・エプリー『人の心は読めるか?』を読む-

ニコラス・エプリー『人の心は読めるか?』(の2015年版)を読んだ。 人の心は読めるか? 作者:ニコラス・エプリー 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/01/23 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文にある通り、 私たちは日々、相手の心を推…

バリはいかにして「創られた」のかを解き明かす、古典的名著 -永渕康之『バリ島』を読む-

永渕康之『バリ島』を読んだ。 バリ島 (講談社現代新書) 作者:永渕 康之 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1998/03 メディア: 新書 内容は、紹介文にもあるように、 「神々の島」「芸術の島」は、いかにして生まれたのか。バリ、バリ、ニューヨークを結んで…

題名は大仰だが、リスト凄いってのはよくわかる。 -浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』を読む-

浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』を読んだ。 フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか (新潮新書) 作者:浦久 俊彦 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/12/14 メディア: 単行本 内容は紹介文のとおり、 リサイタルという形…

鹿鳴館のイスラム様式から、モダニズムと軍国主義の関係まで -井上章一『現代の建築家』を読む-

井上章一『現代の建築家』を読んだ。 井上章一 現代の建築家 作者:井上 章一 出版社/メーカー: ADAエディタトーキョー 発売日: 2014/11/26 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 明治に生まれ、モダニズムの波を越えて、現代に至る日本の建築家たち。日本…

新約聖書における、「救済」と「自責」に関する一考察(ってほどでもない) -田川建三『宗教批判をめぐる』を読む-

田川建三『宗教批判をめぐる 宗教とは何か〈上〉』を読んだ。 宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉 (洋泉社MC新書) 作者:田川 建三 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2006/05 メディア: 新書 内容は紹介文のとおり、 人間はなぜ宗教を生み出し維持してしま…

確かにこんな哲人王はヒトラーには無理。あと「高貴な嘘」について -斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読む-

斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読んだ。 「対話」はいつ、どこででも―プラトン講義 (1984年) (Lecture books) 作者: 斎藤忍随,後藤明生 出版社/メーカー: 朝日出版社 発売日: 1984/12 メディア: ? この商品を含むブログを見る 内容は、…

拝観制限がされると人気が下がる、開放されると人気が出る、というシンプルなメカニズム -井上章一『つくられた桂離宮神話』を読む-

井上章一『つくられた桂離宮神話』 (講談社学術文庫) を読んだ。(というか再読) つくられた桂離宮神話 (講談社学術文庫) 作者: 井上章一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/01/10 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 51回 この商品を含むブログ (33件…

冷戦において利用されかねない内容だったパル判決について -中里成章『パル判事』を読む-

中里成章『パル判事 インド・ナショナリズムと東京裁判』を読んだ。 パル判事――インド・ナショナリズムと東京裁判 (岩波新書) 作者: 中里成章 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/02/19 メディア: 新書 クリック: 25回 この商品を含むブログ (8件) を見…

性教育は市民教育であり、その国の市民社会の成熟度を測る重要なバロメータ -橋本紀子 (監)『こんなに違う!世界の性教育』を読む-

橋本紀子 (監)『こんなに違う!世界の性教育』を読んだ。 こんなに違う!世界の性教育 (メディアファクトリー新書) 作者: 橋本紀子 出版社/メーカー: メディアファクトリー 発売日: 2011/04/28 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 58回 この商品を含むブロ…

星岡茶寮においては、牛肉のすき焼きは提供されなかった、ということらしい。 -『魯山人と星岡茶寮の料理』を読む-

『魯山人と星岡茶寮の料理』(柴田書店)を読んだ。 魯山人と星岡茶寮の料理 作者: 柴田書店 出版社/メーカー: 柴田書店 発売日: 2011/12/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 4回 この商品を含むブログを見る 内容は、おおざっぱにいうと、解説…

まさしく、「渡辺裕の研究のおいしいところだけ載せた感じ」かな。 -渡辺裕『考える耳 記憶の場、批評の眼』を読む-

渡辺裕『考える耳 記憶の場、批評の眼』を読んだ。 考える耳 記憶の場、批評の眼 作者: 渡辺裕 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 2007/04/19 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (7件) を見る 内容は、紹介文に、「超『音楽時評』。しなや…

やはり、「戦争は飯をまずくする(物理)」というような話。 -斎藤美奈子『戦下のレシピ』を読む-

斎藤美奈子『戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る』(のオリジナル版)を読んだ。 (サムネイルは、現代文庫版だが。) *1 戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫) 作者: 斎藤美奈子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/07/16 メディア:…

若干タイトル詐欺気味な感じだが、スタインウェイの良さはよくわかる -髙木裕『今のピアノでショパンは弾けない』を読む-

髙木裕『今のピアノでショパンは弾けない』を読んだ。 今のピアノでショパンは弾けない 日経プレミアシリーズ 作者: ?木裕 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2013/06/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 内容は紹介文の通り、…

「スシ」を巡って、「寿司」に対する固定観念を剥がしていく良書 -玉村豊男『回転スシ世界一周』を読む-

玉村豊男『回転スシ世界一周』*1を読んだ。 回転スシ世界一周 (光文社知恵の森文庫) 作者: 玉村豊男 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/10/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 内容は、「米は野菜? インターネットでスシ修行? オシボリ…