なぜ日本の賃金体系はこんなにも複雑なのか、日本型の雇用や査定制度はどのようにしてできたのか(*中級者以上向け) -金子良事『日本の賃金を歴史から考える』を読む-

金子良事『日本の賃金を歴史から考える』を読んだ(再読)。 日本の賃金を歴史から考える 作者:金子良事 発売日: 2013/11/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文の通り、 なぜわたしたちの賃金体系はこんなにも複雑なのか。日本型の雇用や査定制…

フルトヴェングラーに対してヒトラーが語った、反ユダヤ主義をやめなかった「言い分」 -奥波一秀『フルトヴェングラー』を読む-

奥波一秀『フルトヴェングラー』を読んだ。 フルトヴェングラー (筑摩選書) 作者:奥波一秀 発売日: 2018/11/02 メディア: Kindle版 内容は、紹介文のとおり、 本書は、ヴァイマル期からナチ期、そして戦後における音楽家の振る舞いと内面を同時代人たちとの…

現実空間で仲間とつるむ場がないからネットに向かっている、という「若者」の現実。 -ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる』を読む-

ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる』を読んだ(再読)。 つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの 作者:ダナ・ボイド 発売日: 2014/10/09 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 本書は、若者メディア研究の…

「ちゃう」という言い方は、20世紀はじめになって、関西中央部の若者の間でつかわれるようになった。 -井上史雄『日本語ウォッチング』を読む-

井上史雄『日本語ウォッチング』を読んだ(再読)。 日本語ウォッチング (岩波新書) 作者:史雄, 井上 発売日: 1998/01/20 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 「見れる」「食べれる」のようなラ抜き,「ちがかった」「うざい」「チョー」といった新表現,…

差別意識が患者多発部落への地域差別と結びついたとき、水俣病問題の解決はいちばん困難な壁にぶつかった -色川大吉『日本人の再発見』を読む-

色川大吉『日本人の再発見―民衆史と民俗学の接点から』を読んだ。 日本人の再発見―民衆史と民俗学の接点から (小学館ライブラリー) 作者:色川 大吉 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 近代史家の著者が“自分史”運動を実践しながら、民衆の生活の場に視…

「捨て牛馬」や「捨て子」に加え、「捨て病人」が禁止されていた時代(元禄期の話) -大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本』を読む-

大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本』(のオリジナル版のほう)を読んだ。*1 本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人 作者:ひかり, 大塚 発売日: 2014/01/17 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 古典ってワイドショーだったんです…

「あたしたちと違って志願じゃないらしく、チョゴリを着て、『アイゴー、アイゴー』と泣く姿がなんとも悲しかった。」 ―広田和子『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』を読む―

広田和子『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』を読んだ(再読)。((読んだのは、ハードカバー版の1975年のもの。)) 証言記録従軍慰安婦・看護婦―戦場に生きた女の慟哭 作者:広田 和子 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 1970年代初頭、生存して…

昭和の音楽史を「リズム」から綴る。戦前戦後のジャズに始まり、昭和三〇年代のマンボにドドンパからユーロビートまで。 -輪島裕介 『踊る昭和歌謡』を読む-

輪島裕介 『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』を読んだ(再読)。 踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書) 作者:輪島 裕介 発売日: 2015/02/06 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 座っておとなしく聴くクラシックやモダンジャズに対して…

あまりに早く映画を完成させたために、宣伝ポスターも印刷がまにあわず、封切館の支配人が「絵看板も作れない」と悲鳴を上げ -山根貞男『マキノ雅弘』を読む-

山根貞男『マキノ雅弘 映画という祭り』を読んだ。 マキノ雅弘―映画という祭り (新潮選書) 作者:山根 貞男 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 昭和という時代に、生涯260本あまりの映画を撮った男がいた。マキノ雅弘。時代劇や任侠映画はもちろんのこと…

岡本太郎は、塗料としてカシューと胡粉を使い、ドウサも引いていた ―吉村絵美留『修復家だけが知る名画の真実』を読む―

吉村絵美留『修復家だけが知る名画の真実』を読んだ。 修復家だけが知る名画の真実 (プレイブックス・インテリジェンス) 作者:吉村 絵美留 発売日: 2004/01/01 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 歴史的絵画の発見、2つあるサインの謎…修復の過程で出会っ…

喜劇役者の役割は、いかにその場のエモーションとずれたエモーションでい続けるか、ってことに尽きる -塩田明彦『映画術』を読む-

塩田明彦『映画術』を読んだ(再読)。 映画術 その演出はなぜ心をつかむのか 作者:塩田明彦 発売日: 2014/01/22 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 観る者を魅了する人物は、どのように作られるのか?映画監督の著者が、偏愛するさまざまなシーンを取…

大正末という時期の朝鮮人は、京城師範学校出身者のなかですら蔑視の対象だった -山口輝臣(編)『日記に読む近代日本〈3〉大正』を読む-

山口輝臣(編)『日記に読む近代日本〈3〉大正』を読んだ(再読)。 日記に読む近代日本〈3〉大正 発売日: 2012/02/01 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 日記が、広く国民によって書かれるようになった時代。大正デモクラシー・教養主義の風潮のなか、…

「人文科学ではなくて訊問科学だ」と言われないための、フィールドワークをやる人、やりたい人必読の本。 -宮本常一、安渓遊地『調査されるという迷惑』を読む-

宮本常一、安渓遊地『調査されるという迷惑』を読んだ(再読)。 調査されるという迷惑―フィールドに出る前に読んでおく本 作者:宮本 常一,安渓 遊地 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り 「あれでは人文科学ではなくて訊問科学だ」――旅する民俗学者、宮本…

反骨を気取って差別問題を揶揄するものもいるが、結局面白半分に口にするだけで、抗議を受ければ腰砕けになるパターンが多い -森達也『放送禁止歌』を読む-

森達也『放送禁止歌』を再読。 放送禁止歌 (知恵の森文庫) 作者:森 達也 発売日: 2003/06/06 メディア: 文庫 内容は紹介文の通り、 岡林信康『手紙』、赤い鳥『竹田の子守唄』、泉谷しげる『戦争小唄』、高田渡『自衛隊に入ろう』……。これらの歌は、なぜ放送…

シュルレアリスム、そして、ダリがシュルレアリスム陣営から追放される思想的要因について -酒井健『シュルレアリスム』を読む-

酒井健『シュルレアリスム』を読んだ。 シュルレアリスム 終わりなき革命 (中公新書) 作者:酒井健 発売日: 2014/07/11 メディア: Kindle版 内容は紹介文の通り、 シュルレアリスム(超現実主義)は、第一次世界大戦後のパリで生まれ、世界に広まった文化運動で…

なぜ英語を学校で学ばないといけないか。決定的な答えはおそらく存在しない。英語の「国民教育」化は偶然の産物だから。 ―寺沢拓敬『「なんで英語やるの」の戦後史』を読む―

寺沢拓敬『「なんで英語やるの」の戦後史』を読んだ。*1 「なんで英語やるの?」の戦後史 ——《国民教育》としての英語、その伝統の成立過程 作者:寺沢 拓敬 発売日: 2014/02/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文のとおり、 私たちが受けてきた…

「コルセットをしなくてもいいとどんなにいいだろう」と、与謝野晶子は述懐した -乳房文化研究会 (編)『乳房の文化論』を読む-

乳房文化研究会 (編)『乳房の文化論』を読んだ。 乳房の文化論 発売日: 2014/11/19 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 おっぱい、お乳、バスト、胸、時と場合によってまことに変幻自在、さまざまの呼び名で親しまれている乳房はまったくもって「不…

正直、すごい煽り気味のタイトルではあるが、しかし、それに見合うだけの面白さと説得力がある -春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』を読む-

春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』を再読。 なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書) 作者:春日太一 発売日: 2014/09/16 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 かつて映画やテレビドラマで多くの人々を魅了した時代劇も、2011年には『水戸黄門』が終了し、民放…

「個人的には、こう思います」と申し訳なさそうに話す人は、ある種の学問の雛形に囚われすぎている -野口雅弘『マックス・ウェーバー』を読む-

野口雅弘『マックス・ウェーバー: 近代と格闘した思想家』を読んだ。 マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家 (中公新書) 作者:野口 雅弘 発売日: 2020/05/19 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『仕…

エミリー・ディキンソンとラップの共通項。ヒップホップの歴史を楽しく解説する良書。 ―長谷川町蔵、大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』を読む―

長谷川町蔵、大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』を読んだ。 文化系のためのヒップホップ入門 作者:長谷川 町蔵,大和田 俊之 発売日: 2018/08/22 メディア: Kindle版 内容は、紹介文の通り、 気鋭のライターとアメリカ文学者が対談形式でお届けす…

多分、詩の発生は、対象へのほめ言葉。そして、ほめ言葉は、いつも常識的表現をよろこばない。 -吉野弘『現代詩入門』を読む-

吉野弘『現代詩入門』を読んだ。 現代詩入門 作者:吉野 弘 発売日: 2007/06/01 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 どう読むか、どう書くか、詩とは何か…。単なる作詩法・技術論を超えて、詩的感動の原点は何かを語ろうとする、現代詩入門。さまざまな詩…

タンゴもハワイアンもジャズも、ひとくくりに「ジャズ」だった時代。戦前日本のジャズについて -瀬川昌久、大谷能生『日本ジャズの誕生』- 

瀬川昌久、大谷能生『日本ジャズの誕生』を読んだ。 日本ジャズの誕生 作者:瀬川 昌久,大谷 能生 発売日: 2008/12/20 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 『東京大学のアルバート・アイラー』でジャズ論を一大転換させた批評家=ミユージシャンが、古典ジ…

「市場原理による選択がまるで働かないように、バナナの生産現場は仕組まれている」 -鶴見良行『バナナと日本人』を読む-

鶴見良行『バナナと日本人』を久々に読んだ。 バナナと日本人―フィリピン農園と食卓のあいだ (岩波新書) 作者:鶴見 良行 発売日: 1982/08/20 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 スーパーや八百屋の店頭に並ぶバナナの九割を生産するミンダナオ島。その大…

ブルースやジャズ、ヒップホップを、<黒人性>だけで語ることは出来ない。白と黒だけではない米国音楽史  ―大和田俊之『アメリカ音楽史』を読む・後編―

前回の続き。 アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ) 作者:大和田 俊之 発売日: 2011/04/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「ジャズ」の意味は広かった そもそもニューオーリンズのミュージシャンは自…

音楽ジャンル同士の分断と絡み合いを史的にたどる。ブルースとカントリー、カントリーとフォーク・・・ ―大和田俊之『アメリカ音楽史』を読む・前編―

大和田俊之『アメリカ音楽史』を再読。 アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ) 作者:大和田 俊之 発売日: 2011/04/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文の通り、 ロック、ジャズ、ブルース、…

裏付け的に大丈夫か、と思うところも、もちろんなくはないのだが、読んでて面白いのは確か。 ―大森洋平『考証要集』を読む―

大森洋平『考証要集』を読んだ。 考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫) 作者:大森 洋平 発売日: 2013/12/04 メディア: 文庫 内容は紹介文の通り、 NHKのドラマ、ドキュメンタリー番組で時代考証を担当する大森洋平氏(NHK職員)が書きためた「考証メモ」…

「年に1日だけでもいい、全てのミュージシャンは自分の楽器を置いてデューク・エリントンに感謝を捧げるべきだ」 ―柴田浩一 『デューク・エリントン』を読む―

柴田浩一 『デューク・エリントン』を読んだ。 デューク・エリントン 作者:柴田浩一 発売日: 2015/12/21 メディア: オンデマンド (ペーパーバック) 内容は紹介文の通り、 日本で初のエリントン、その音楽を解く鍵はここにある。ジャズと横浜を愛する男が、エ…

「美術館をつくるのに修復部門がなく、つくる予定もないなんて、言語道断」 ―『修復家・岩井希久子の仕事』を読む―

岩井希久子 『修復家・岩井希久子の仕事』を久々に読んだ。 モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事 作者:岩井希久子 発売日: 2013/05/17 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 修復を手がける中で起こった数々のドラマや…

民主主義を単なる多数決と混同しないためにも、ぜひ読んでおくべき本。 -坂井豊貴『多数決を疑う』を読む-

坂井豊貴『多数決を疑う』を読んだ。 多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書) 作者:坂井 豊貴 発売日: 2015/04/22 メディア: 新書 内容は紹介文のとおり、 選挙制度の欠陥と綻びが露呈する現在の日本。多数決は本当に国民の意思を適切に反映してい…

自分のやっていることに意味とか価値とか張り合いなんて、なるべく感じないほうがいいのだ ―金井美恵子『夜になっても遊びつづけろ』を読む―

金井美恵子『夜になっても遊びつづけろ』を読んだ。 夜になっても遊びつづけろ (1977年) (講談社文庫) 作者:金井 美恵子 メディア: 文庫 内容は、 『夜になっても遊びつづけろ』に収められた、若き日の、ある独特の観念の硬さがそのまま、引き締まった持続と…