悪臭都市だった平安京から、汲みとり式便所と京野菜の話まで(あと、その他諸々の話題) -高橋昌明『京都〈千年の都〉の歴史』を読む-

高橋昌明『京都〈千年の都〉の歴史』を読んだ。 京都〈千年の都〉の歴史 (岩波新書) 作者:高橋 昌明 発売日: 2014/09/20 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 平安の都、日本の〈千年の都〉として、今も愛される京都。しかし今の京都には、実は平安当時の…

「一億総特攻」に続かずに、残った本土の日本人が、特攻者たちを都合よく物語化した -一ノ瀬俊也『戦艦大和講義』を読む-

一ノ瀬俊也『戦艦大和講義』を読んだ。久々に。 戦艦大和講義: 私たちにとって太平洋戦争とは何か 作者:俊也, 一ノ瀬 発売日: 2015/04/07 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 1945年4月7日、特攻に出た大和は沈没した。戦後も日本人のこころに生き続ける…

少女マンガにおける少年愛・「かわいい」と権力・キャラクターの不死性(*岡崎京子論については、本稿では論じていない。) -杉本章吾『岡崎京子論』を読む-

杉本章吾『岡崎京子論 少女マンガ・都市・メディア』を読んだ。 岡崎京子論 少女マンガ・都市・メディア 作者:杉本 章吾 発売日: 2012/10/24 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、 高度消費社会との応答のなかで、少女・女性像はどのように提示されたか…

御土居は、京都の内外を分ける社会的排除の象徴でもあった。(それから、「堀川ごぼう」の自生説について) -梅林秀行『京都の凸凹を歩く』を読む-

梅林秀行『京都の凸凹を歩く』を再読。 京都の凸凹を歩く -高低差に隠された古都の秘密 作者:梅林 秀行 発売日: 2016/04/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、 豊臣秀吉由来の「御土居」をはじめ、凸凹ポイントで見つめ直せば、京都のディープな姿…

「なぜおれに一〇〇メートル駆けさせないか」(by岡本太郎) そして、大商会頭の出身地から大阪経済の浮沈を思う -梅棹忠夫『民博誕生』を読む-

梅棹忠夫『民博誕生 館長対談』を読んだ(だいぶ前に読んで久しい)。 民博誕生―館長対談 (1978年) (中公新書) メディア: 新書 内容は、梅棹とゲストたちとの対談なのだが、某密林のレビューにある通り、「本書は民博完成に関った人々との対話だが、けっこう…

香港映画にはまる土星人、ダンボを愛する土星人、そして、音楽の懐が深い土星人 -湯浅学『てなもんやSUN RA伝』を読む-

湯浅学『てなもんやSUN RA伝』を読んだ。 てなもんやSUN RA伝 音盤でたどるジャズ偉人の歩み (ele-king books) 作者:湯浅学 発売日: 2014/10/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、紹介文のとおり、 土星に還った男、サン・ラーの足跡を追う惑星間音…

シェイクスピアと囲い込みの話から、『ハムレット』は「哲学」的という話まで -河合祥一郎『シェイクスピア 人生劇場の達人』を読む-

河合祥一郎『シェイクスピア 人生劇場の達人』を読んだ。 シェイクスピア - 人生劇場の達人 (中公新書) 作者:河合 祥一郎 発売日: 2016/06/21 メディア: 新書 内容は紹介文のとおり、 本書は、彼が生きた動乱の時代を踏まえ、その人生や作風、そして作品の奥…

「やさしい日本語」とはいうものの、使いこなすのは全然たやすくないわけで。 -庵功雄『やさしい日本語』を読む-

庵功雄『やさしい日本語』を読んだ。 やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書) 作者:庵 功雄 発売日: 2016/08/20 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 人口減少を背景に、移民受け入れの議論が盛んになっている。受け入れるとしたときに解決しなければ…

「異学の禁」が素読に与えた影響から、幕末明治の漢詩ブームの背景まで -齋藤希史『漢文脈の近代』を読む。-

齋藤希史『漢文脈の近代』を読んだ。(三読目くらいか。) 漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界 (NHKブックス) 作者:齋藤 希史 メディア: 単行本 内容は、紹介文のとおり、 本書は漢文の文体にのみ着目した従来の議論を退け、思考様式や感覚を含めた知…

阪神タイガース、あるいは、「野次も、関西弁なので何となく迫力がない」と書かれた時代 -井上章一『阪神タイガースの正体』を読む-

井上章一『阪神タイガースの正体』を再読。(読んだのは2001年の太田出版のもの。*1 ) 阪神タイガースの正体 (朝日文庫) 作者:井上章一 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2017/02/06 メディア: 文庫 内容は紹介文のとおり 阪神への幻想はいつどの…

エレキギターが主役になるまでの日本ギター音楽史。あと、なぜブルースといえばギターなのか -北中正和 『ギターは日本の歌をどう変えたか』を読む-

北中正和 『ギターは日本の歌をどう変えたか』を読んだ。 ギターは日本の歌をどう変えたか―ギターのポピュラー音楽史 (平凡社新書) 作者:北中 正和 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2002/06/01 メディア: 新書 内容紹介文の通り、 今や最も身近で愛されてい…

二大カリスマを通して読む黒人社会。そして、キング牧師はどのような盗作を行ったかについて -上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読む-

上坂昇『キング牧師とマルコムX』を読んだ。 キング牧師とマルコムX (講談社現代新書) 作者:上坂 昇 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1994/12/16 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 対照的な二大カリスマを通して読む黒人社会。マルコムXブームの意味…

「俗情との結託」と『神聖喜劇』、から、花田清輝と異邦人論争の話まで -『大西巨人 抒情と革命』を読む-

『大西巨人 抒情と革命』(河出書房新社、2014年)を読んだ。 大西巨人: 抒情と革命 作者: 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/06/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は、「先日、物故した戦後文学、最後にして最大の巨匠が遺した問いと…

「二〇一八年」以降も先の見えない日本の原子力政策、その歴史をさかのぼる。 -太田昌克『日米〈核〉同盟』を読む-

太田昌克『日米〈核〉同盟 原爆、核の傘、フクシマ』を読んだ。(*再読) 日米〈核〉同盟――原爆、核の傘、フクシマ (岩波新書) 作者:太田 昌克 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/08/21 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 広島、長崎、ビキニ、…

「京都は観光の街ではない」という話から、「『育てる』というえらそうな物言い」の話まで -鷲田清一『京都の平熱』を読む-

鷲田清一『京都の平熱』のオリジナル版(2007年)を読んだ。*1 京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫) 作者:鷲田 清一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/04/11 メディア: 文庫 内容は、 〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子となって都市の記…

「貧しい人を助けようとすると聖人扱いされ、彼らがなぜ貧しいのかを説明しようとすると (中略) 」。あと、「毎日残業するのはいけません」 -レノレ『出る杭はうたれる』再読-

アンドレ・レノレ『出る杭はうたれる』を読んだ(これで三読くらいか)。 出る杭はうたれる―フランス人労働司祭の日本人論 (同時代ライブラリー) 作者:アンドレ レノレ 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1994/03/15 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 …

サブタイトルは釣り気味ではあるが、しかし、中身は問題ない。 -今拓海『ローリング・ストーンズ』を読む-

今拓海『ローリング・ストーンズ』を読んだ。(厳密には再読) ザ・ローリング・ストーンズ〜「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」の聴き方が変わる本 作者:今 拓海 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/05/12 メディア: 単行本 内容は、紹介文の通り、…

この本があれば、下手な自己啓発本はいらないんじゃね、ってなる -ワイズマン『その科学が成功を決める』を読む-

リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』(2010年版)を読んだ。 その科学が成功を決める (文春文庫) 作者:リチャード ワイズマン 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/09/04 メディア: 文庫 内容は、 成功する自分をイメージする方法はむ…

多声音楽は共和制、和声音楽は君主制。(あとそれから、その出典について) -芥川也寸志『音楽の基礎』を読む-

芥川也寸志『音楽の基礎』を読んだ。 音楽の基礎 (岩波新書) 作者:芥川 也寸志 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/08/31 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 さらに深く音楽の世界へわけ入るには、音楽の基礎的な規則を知る必要がある。本書は、作…

貧困がちゃんと見える社会こそ、成熟した豊かな社会。その通りだ。 -大原悦子『フードバンクという挑戦』を読む-

大原悦子『フードバンクという挑戦』(のオリジナル版のほう)を読んだ。*1 フードバンクという挑戦――貧困と飽食のあいだで (岩波現代文庫) 作者:大原 悦子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/03/17 メディア: 文庫 内容は紹介文の通り、 まだ十分安全…

斎藤晴彦における、ブレヒト劇とエノケンからの影響について -斎藤晴彦『〈音楽〉術・モーツァルトの冗談』を読む-

斎藤晴彦『斎藤晴彦〈音楽〉術・モーツァルトの冗談』を読んだ。 斎藤晴彦〈音楽〉術・モーツァルトの冗談 (シリーズ日常術 6) 作者:斎藤 晴彦 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 1986/11 メディア: 単行本 内容は、俳優であり、クラシックの替え歌で著名な著…

「靖国化」していた摩文仁の丘と、それから、沖縄料理が不味いと言われた時代について -多田治『沖縄イメージを旅する』を読む-

多田治『沖縄イメージを旅する』を読んだ。 沖縄イメージを旅する―柳田國男から移住ブームまで (中公新書ラクレ) 作者:多田 治 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2008/08 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 青い海、白い砂浜、穏やかな三線の音。…

連綿と受け継がれてきた、『源氏物語』へのおっさんたちの愛(ラブ) -島内景二『源氏物語ものがたり』を読む-

島内景二『源氏物語ものがたり』を読んだ。 源氏物語ものがたり (新潮新書) 作者:島内 景二 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/10/01 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 なぜ源氏物語は千年もの長きにわたって、読者を惹きつけてきたのか?本文を確…

ハーレクイン・ロマンスから、ブック・クラブまで、文学を搦手から攻める -尾崎俊介『ホールデンの肖像』を読む-

尾崎俊介『ホールデンの肖像』を読んだ。 ホールデンの肖像―ペーパーバックからみるアメリカの読書文化 作者:尾崎 俊介 出版社/メーカー: 新宿書房 発売日: 2014/10/01 メディア: 単行本 内容は紹介文にある通り、 ペーパーバック研究から横滑りして、ハーレ…

相手のことは、期待されるほどには分かっていない (あと、女神ヴィリプラカについて) -ニコラス・エプリー『人の心は読めるか?』を読む-

ニコラス・エプリー『人の心は読めるか?』(の2015年版)を読んだ。 人の心は読めるか? 作者:ニコラス・エプリー 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/01/23 メディア: 単行本(ソフトカバー) 内容は紹介文にある通り、 私たちは日々、相手の心を推…

バリはいかにして「創られた」のかを解き明かす、古典的名著 -永渕康之『バリ島』を読む-

永渕康之『バリ島』を読んだ。 バリ島 (講談社現代新書) 作者:永渕 康之 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1998/03 メディア: 新書 内容は、紹介文にもあるように、 「神々の島」「芸術の島」は、いかにして生まれたのか。バリ、バリ、ニューヨークを結んで…

題名は大仰だが、リスト凄いってのはよくわかる。 -浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』を読む-

浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』を読んだ。 フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか (新潮新書) 作者:浦久 俊彦 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/12/14 メディア: 単行本 内容は紹介文のとおり、 リサイタルという形…

鹿鳴館のイスラム様式から、モダニズムと軍国主義の関係まで -井上章一『現代の建築家』を読む-

井上章一『現代の建築家』を読んだ。 井上章一 現代の建築家 作者:井上 章一 出版社/メーカー: ADAエディタトーキョー 発売日: 2014/11/26 メディア: 単行本 内容は紹介文の通り、 明治に生まれ、モダニズムの波を越えて、現代に至る日本の建築家たち。日本…

新約聖書における、「救済」と「自責」に関する一考察(ってほどでもない) -田川建三『宗教批判をめぐる』を読む-

田川建三『宗教批判をめぐる 宗教とは何か〈上〉』を読んだ。 宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉 (洋泉社MC新書) 作者:田川 建三 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2006/05 メディア: 新書 内容は紹介文のとおり、 人間はなぜ宗教を生み出し維持してしま…

確かにこんな哲人王はヒトラーには無理。あと「高貴な嘘」について -斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読む-

斎藤忍随、後藤明生『「対話」はいつ、どこででも』を読んだ。 「対話」はいつ、どこででも―プラトン講義 (1984年) (Lecture books) 作者: 斎藤忍随,後藤明生 出版社/メーカー: 朝日出版社 発売日: 1984/12 メディア: ? この商品を含むブログを見る 内容は、…