2012-01-01から1年間の記事一覧
松尾匡『対話でわかる痛快明解 経済学史』を読む。 ライトなつくりになっていて、読みやすいが、中身はしっかりしている。 マルクスは、自分自身の字も読めないことがあり、実際に『資本論』第2巻の序文で、エンゲルスもそう書いている(66頁)。 こんな感…
ヤスパースについて。 彼が1945年に「責任」について講義(ドイツ人自らが内面的な転換を図るもの)を行った時は、実は、その主張は世間の受け入れる所とはならなかった。 むしろ根拠のない誤解と批判に晒され、その真意、特に「形而上学の罪」について理解さ…
石田勇治『過去の克服 過去の克服: ヒトラー後のドイツ作者: 石田勇治出版社/メーカー: 白水社発売日: 2014/05/16メディア: 単行本この商品を含むブログを見る』を読む。 良本である。 ドイツにも、ナチ時代の過去を反省しようとする人々がいる一方、それを…
土山実男『安全保障の国際政治学―焦りと傲り』を読む。 安全保障論の良本である。 amazonの書評が丁寧なので、ぜひ目を通しておくこと。 最低限、「第1章 はじめにツキュディデスありき―国際政治の焦りと傲り」は読んでおくこと。 古代ギリシア時代の古典も…
中尾知代『日本人はなぜ謝りつづけるのか』を読む。 以前、日英和解の記事が話題になって、それで本書を再読した(二度目)。 タイトルはアレだが、いたってマトモな本。 こちらの書評が一番丁寧である。 気になったところだけ。 ある捕虜の未亡人について(…
石川美子『自伝の時間―ひとはなぜ自伝を書くのか』を読む。 本書の紹介にあるように、わたしはなぜ今ここにいるのか。ロラン・バルト、プルースト、スタンダールなどのフランス自伝文学が物語る、愛する者を失った「喪」の苦悩のなかから求める「新たな生」…
つぎの清水浜と、そのつぎの歌津はいずれも小さな漁港であった。家が少ないからホームを埋めつくすほどの人はいない。そのかわり手足を動かすことができるから、いろいろなことをやってくれる。けさ仙台で読んだ地方新聞によると、きょうのために一ヶ月も前…
杉田敦(編)『連続討論 「国家」は、いま――福祉・市場・教育・暴力をめぐって』を読む。 本書の要点は、このブログが書いておられるので省略する(http://anglo.exblog.jp/12598554/)。 巻末で杉田先生が述べている、国家は完全に肯定も、かといって完全に否…
牧原出『行政改革と調整のシステム』を読む。 ある程度、行政学の入門書とかを読んでおかないと、退屈してしまうかもしれない。 こちらに、行き届いた書評があるので、こっち読んでから本書を読むといいはず。 ブコメにも書いたとおり、「日常的な『二省間調…
「現代日本の「テレビ」」という『dongfang99の日記』さんの記事を拝見して思ったのだが、「2000年代以降、仕事を通じた利害関係の網の目から「自由」になった年金生活者が増大し、自ずと家でテレビを見る時間が増えたことで、テレビの政治世論形成における…
水町勇一郎『労働法入門』を読む。 実に良くまとまっている。 そして、著者の人柄も良く出ているように思う。 例えば、「労働審判審査って何?」とかいっちゃう人は、さっさとこれを買うなり借りるなりして読むべき。 興味のわいたところだけ。 会社と労働者…
濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』を読む。 内容は、前に書かれた新書である『新しい労働社会』と重複する箇所が多いが、前著が欧州との比較を意識しつつ、日本の目指すべき「新しい労働社会」への構想が書かれていたのに対して、本書は、日本の戦前〜現在ま…
松尾匡『商人道ノスヽメ』を読む。 一応は、良作。 本書で解説される「商人道」は、山岸俊男の説を"参照"する形で書かれている。 山岸の説に関しては、ここと、ここの疑問点を紹介しておきたい。 個人的には素朴な疑問として、?その人の出身階層とか出身の地…
雨宮昭一『占領と改革』を読む。 本書の要点は、戦前戦後を貫く「協同主義」の存在。 この存在については、こちらの書評をお勧めしたい。 「協同主義」というのは、つまり「ソシアル」(俗にいう"リベサヨ"ではなく、欧州的な、増税と社会福祉を提唱し、「大…
福田歓一『近代民主主義とその展望』を読む。 確かに、繰り返し読みたくなる名著。 近代の民主主義を押さえる上での基本文献の一つ。 興味深いと思ったところを。 近代民主主義の起源と、自由と平等の関係について。 二つは背反していると思われがちだが、必…
平山洋介『東京の果てに』を読む。 良書。 内容については、こちらの書評をお勧めしたい。 なかでも、"福祉としての住宅"という問題に関して興味深い箇所があるので、これについて書いておく。 (著者は、のちに『住宅政策のどこが問題か』という本を書いて…
波多野澄雄『国家と歴史』を読む。 この著者がどんな人物であるかを知っておく限りであれば、この本は、悪い本ではないと思う。 戦後においてもなお、昭和天皇が継続して在位したことは、国外において、「過去の軍事侵略について日本人が罪の意識を感じてい…
竹森俊平『国策民営の罠』を読む。 実に読み応えのある良本だが、Web界隈では、書評が少ない気がする。 内容については、こちらの評をお勧めしたい。 内容のまとめとしては上の評でいいと思うので、それで終わりにしてもいいのだが、それじゃ何だか芸がない…