2015-01-01から1年間の記事一覧

よし、Do You Know The Way To San Jose を日本の国歌にしようぜ、というような話(ではない)。 -増田聡『聴衆をつくる』を読む-

増田聡『聴衆をつくる』を読んだ。 ぜひ手に取って読んでいただきたい。 さいきん、増田先生で話題になったことと言えば、戦略的な「パクリレポート課題」*1の話題か。 とりあえず、特に面白かった箇所だけ聴衆をつくる―音楽批評の解体文法作者:増田 聡発売…

「きっと何者にもなれないお前たち」のための、あるいは、「負けない」ための、競争論について語ろう(てきとう) -井上義朗『二つの「競争」』を読む-

井上義朗『二つの「競争」―競争観をめぐる現代経済思想』を読んだ。 隠れた良書である。 是非、一読してほしい。二つの「競争」―競争観をめぐる現代経済思想 (講談社現代新書)作者:井上 義朗発売日: 2012/09/14メディア: 新書 以下、面白かったところだけ書…

面白いのは、日活ロマンポルノ時代の話だけじゃないぞ!(アキラの伝説とか渡哲也のデビュー期とか) -白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』を読む-

白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』を読んだ。*1 面白いというしかない。 賞も得ているので、本書を読んでいる方も多くいるだろう。スクリプターはストリッパーではありません作者:白鳥あかね発売日: 2014/04/30メディア: 単行本 以下…

不朽であることを望まなかった魯迅の文章が、今もなお読み継がれることの不幸(大意) -片山智行『魯迅』について-

片山智行『魯迅』(中公新書)を読んだ。 キーワードは、「馬々虎々」。 本書の内容紹介を引用すれば、「欺瞞を含む人間的な『いい加減さ』」)のことであり、「支配者によって利用され、旧社会の支配体制を支えていた」もののことである。 本書は、魯迅を「馬…

「進化しちゃえば大丈夫だよ」から、「僕は新世界の神になる」になるまで。 -嘉戸一将『北一輝 国家と進化』を読む-

『北一輝 国家と進化』を読む。 面白いし、勉強になる所も多かった。*1 外部的な要因(社会的変化等)から彼の主著を読むのではなく、あくまで北の内在的な思想の地点に踏みとどまって読解している。 その結果、彼自身は、(よく言われていたような)思想的…

出版されて10年になるが、まだ古びていないことは喜ばしいことなのか どうか -ななころびやおき『ブエノス・ディアス、ニッポン』-

『ブエノス・ディアス、ニッポン 外国人が生きる「もうひとつの日本」』を読んだ。*1 出版されて10年は経つが、いまだに古びていない。 それは喜ばしいことなのか(反語)。 野村進が書評*2でいうように、「激変する在日外国人社会の現状を知るためには必読…

「警察がRAAを作り、RAAから”夜の女”が出現し、その取り締まりのために婦人警察官が必要とされた」 -池川玲子『ヌードと愛国』について-

池川玲子『ヌードと愛国』を読んだ。 実に面白い。 タイトルは、『ラーメンと愛国』を模したものだろうが、内容としては、『ヌードを通してみた、近現代日本における女性及び女性表象の扱い』みたいな感じである。 本書には、僅かに、出光真子(某出光の経営…

かつてハマスも支援していたイスラエルさん についての基礎知識、的な何か -早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』を読む-

早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』を改めて読んだ。 立場はどうあれ、イスラエルとパレスチナに関心のある人は、読んでおくべき本である。*1 主に、ユダヤ系の知識人たちが、「イスラエル」にどのように向き合ったのか、という内容である。ユダヤとイ…

ホメイニ師の「柔軟さ」と、酒とイスラームと歴史について若干 -高野秀行『イスラム飲酒紀行』を読んで-

高野秀行『イスラム飲酒紀行』を読んだ。 面白い。 時間がないので、特に面白かったところだけ。イスラム飲酒紀行作者: 高野秀行,森清出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2011/06/25メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 102回この商品を含むブログ (34件) を見…

正坐嫌いは全員集合、読んで足と心をラクにしようぜ、といういい本。 -矢田部英正『日本人の坐り方』を読む-

矢田部英正『日本人の坐り方』を読んだ。 正坐嫌いな人は、絶対に読んでおくべき*1。マジで。 著者の主張には一部共感できないところはあるが、「坐る」ことの歴史について、学ぶべきところは多い。日本人の坐り方 (集英社新書)作者:矢田部 英正発売日: 2011…

俳句にとって切字は具体的にどれだけ重要なのか、という話。 -金子兜太、いとうせいこう『他流試合』を読む-

金子兜太、いとうせいこう『他流試合 兜太・せいこうの新俳句鑑賞』を読んだ。 これを読めばきっと俳句の面白さが貴殿にも分かる(という煽り)。他流試合―兜太・せいこうの新俳句鑑賞作者: 金子兜太,いとうせいこう出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/04…