山本直治『実は悲惨な公務員』を読む。
ただ、タイトルが正直釣りで、正式タイトルは、「実際のところ、公務員ってどうよ?」みたいな感じ。
でも中身はマトモな本です。
んで、中身。
外郭団体の職員を含んだ、政府部門の就労者数は、国税庁がまとめた源泉所得税の納付状況を元にすると、約893万人にもなるらしい(22頁)。
これを多いと見るか、少ないと見るか。
ちなみに、外郭団体の幹部ポストも、大手民間に比べれば給与水準は低いらしい(49頁)。
まあ、外郭団体(天下り)問題の重要点は、彼らが給料の分きちんと働いているのか、という問題につきるだろうから、給料の安い低いは、あまり問題じゃない気がする。
結局、外郭団体(広くいえば天下り先)がきちんと仕事してるかどうかが問題だ、というのは、田中秀臣『不謹慎な経済学』もいってたっけな。
公務員なら、定員も人件費も国の枠組みで縛れる。
でも外郭団体なら、そこから外れてしまう。役所に封じ込めたほうが、行政コストは下げられる、という主張もある(107頁)。
実は、そういう意味では、「大きな政府」は合理的ではある。
公務員減らすより、いかに彼らに、仕事をさせるのか、頑張ってもらえるのか、知恵が大切ではあるけど。
実は現在、地方より中央のほうが官庁人員は欠乏してる。
政治主導とか諸々の事情で、係長クラスの官僚が引っ張られて、そこで、その穴を出先機関とか外郭団体から引っ張ってるわけだ。
実際、霞ヶ関が、地方自治体や外郭団体からスタッフを「業務研修」名目で、引っ張ってくる事例も。
ただ、国家公務員採用?種、?種試験合格者の場合、部局採用、地域採用になる。で、結構地元から離れたくない人も多い(108頁)。だから、そう簡単に中央へ来てくれない。
実に悩ましい所。
そこで、「地方分権だーーー」って言い出す人は多そう(笑)
ただ、現状は、地方より中央での採用を増やしていくしかない。(場合によっちゃ、中途採用という方法も検討した方がいいかも、とか思ってしまったけどw)
意外と知られていないが、公務員もリストラは可能。国家公務員法の規定では。
ただ基本的には、出向や、配置転換、勧奨退職とかで乗り切ってきた。
何でこうなってるのかといえば、総定員法によるもの(118頁)。これのおかげで、整理解雇も、配置転換も、本人の同意のないものは、できなくなったわけだ。
この流れが変わってきたのは、2006年の閣議決定による、農水省や国土交通省の特定部門の業務リストラのとき。
配置転換が決行された。よりにもよって、彼ら、国税局員や刑務官に転籍したという(p119)。
これ、超左遷じゃんw。普通のリストラよりきつい。
(逆に言うと、国税局員とか刑務官は、慢性的に人手不足ってこと。あと、生活保護課も人手不足。)
まあ、公務員って、ひとくくりには出来ない存在です。