2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

マナーは思いやりではなくて、単なる他者との共存のすべである、という話。 -野矢茂樹編『子どもの難問』を読んで-

野矢茂樹編『子どもの難問』を読んだ。 幾人もの日本を代表する哲学者たちが、「子どもの難問」に、こたえていく内容。 一つの問いあたり、二人の哲学者が担当しており、その対比も見どころ。 じつは、最大の読みどころは、巻末に載っている哲学者たちの出身…

「分かるやつにだけは分かる」こと、あるいは、近代芸術の「逆説」 -阿部良雄『ひとでなしの詩学』から-

阿部良雄『ひとでなしの詩学』を読んだ。 詳しい内容については既に、書評がウェブ上に存在する。(良い阿部良雄入門にもなっているので一読してほしい。) 以下、気に入ったところだけ書く。 写実主義から印象主義へと、描く対象が市井の人々や見慣れた風景…

「きれいな被害者」を求める社会は、幼稚だと思う。 -宮地尚子『トラウマ』雑感-

宮地尚子『トラウマ』(岩波新書)を読んだ。 トラウマとは何か、そしてトラウマに関する諸々を学べる良書。 初心者にもとっつきやすい。 興味を持ったところだけ書いていく。 裁判などで「事件の次の日も平気で仕事に行ったのは不自然」ということで犯罪報…