「技術」についてプラトン、アリストテレスから核ミサイルまで -村田純一『技術の哲学』を読む-

村田純一『技術の哲学』を読んだ。 技術の哲学 (岩波テキストブックス) 作者: 村田純一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2009/07/17 メディア: 単行本 クリック: 15回 この商品を含むブログ (15件) を見る 内容は、紹介文にあるとおり、「これまで主題的…

戦後日本の脳内麻薬、あるいは、日本文化のアヘンとしての「禅」 -山田奨治『禅という名の日本丸』を読む-

山田奨治『禅という名の日本丸』を読んだ。 禅という名の日本丸 作者: 山田奨治 出版社/メーカー: 弘文堂 発売日: 2005/04/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 38回 この商品を含むブログ (6件) を見る 内容は、紹介文にある通り、「弓・石庭・禅など…

日本の戸籍に見る「機会主義 (あるいはご都合主義)」について -遠藤正敬『戸籍と国籍の近現代史』を読む-

遠藤正敬『戸籍と国籍の近現代史 -- 民族・血統・日本人』を読んだ。 戸籍と国籍の近現代史――民族・血統・日本人 作者: 遠藤正敬 出版社/メーカー: 明石書店 発売日: 2013/09/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 内容は紹介文にもある通…

ハムのお寿司があったり、化調が裕福な家庭で使われたりしていた「戦前」 -魚柄仁之助『食育のウソとホント』を読む-

魚柄仁之助『食育のウソとホント』を読んだ。 食育のウソとホント 捏造される「和食の伝統」 作者: 魚柄仁之助 出版社/メーカー: こぶし書房 発売日: 2018/09/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 紹介文にあるように、「『旬』だからおいしい?…

いっそ、もうずっと「平成」でいいんじゃないでしょうかね(てきとう) -浅見定雄『にせユダヤ人と日本人』を読む-

浅見定雄『にせユダヤ人と日本人』を読んだ。 にせユダヤ人と日本人 (1983年) 作者: 浅見定雄 出版社/メーカー: 朝日新聞社 発売日: 1983/12 メディア: ? クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る 紹介文にある通り、「ベンダサンこと山本七平氏の…

レオナルドの手稿に記されている発明品が、彼独自の発想とは限らない -片桐頼継『レオナルド・ダ・ヴィンチという神話』を読む-

片桐頼継『レオナルド・ダ・ヴィンチという神話』を読んだ。 レオナルド・ダ・ヴィンチという神話 (角川選書) 作者: 片桐頼継 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版 発売日: 2003/12/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 紹介文にある…

児童図書を監視する機関を提唱したり、童話集を出版したりした森銑三 -柳田守『森銑三』を読む-

柳田守『森銑三 書を読む“野武士”』を読んだ。 森銑三―書を読む“野武士” (シリーズ民間日本学者) 作者: 柳田守 出版社/メーカー: リブロポート 発売日: 1994/10 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログ (4件) を見る 「民間史学者として立ち、…

「疑わしきは罰せずはわが東大医学部には通用しない」とか言われたら、そりゃ決起するやろ 山本義隆『私の1960年代』を読む(続編)

前の記事の続き*1 私の1960年代 作者: 山本義隆 出版社/メーカー: 金曜日 発売日: 2015/09/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (12件) を見る 法の常識が通用しない医学部 疑わしきは罰せずとは法の常識ではあっても、わが東大医学部…

科学者は場合によってはその権利を行使して研究をサボタージュしなければならない 山本義隆『私の1960年代』を読む

山本義隆『私の1960年代』を読んだ。 私の1960年代 作者: 山本義隆 出版社/メーカー: 金曜日 発売日: 2015/09/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (12件) を見る 元東大全共闘代表による、自身の「1960年の安保闘争からの歩みと経験…

自由も自治も自発性も、日本の総力戦体制の中にすでに組み込まれていた 中野敏男『詩歌と戦争』を読む。

中野敏男『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』を読んだ。 詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」 (NHKブックス) 作者: 中野敏男 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2012/05/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 3回 この商品を含むブ…

江戸期の「商業捕鯨」が「鯨の無駄のない利用」を生んだ、というような話 -中園成生『くじら取りの系譜』を読む-

中園成生『くじら取りの系譜』を読んだ。 くじら取りの系譜―概説日本捕鯨史 (長崎新聞新書 (001)) 作者: 中園成生 出版社/メーカー: 長崎新聞社 発売日: 2006/07 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 内容はすでに紹介文にある通り、日本人と…

なぜ文革後の中国において、「日本画」の技法が取り入れられるようになったのか、という話。 荒井経『日本画と材料』を読む

荒井経『日本画と材料 近代に創られた伝統』を読んだ。*1 日本画と材料 近代に創られた伝統 作者: 荒井経 出版社/メーカー: 武蔵野美術大学出版局 発売日: 2015/10/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 紹介文にあるよう…

よし、Do You Know The Way To San Jose を日本の国歌にしようぜ、というような話(ではない)。 -増田聡『聴衆をつくる』を読む-

増田聡『聴衆をつくる』を読んだ。 ぜひ手に取って読んでいただきたい。 さいきん、増田先生で話題になったことと言えば、戦略的な「パクリレポート課題」*1の話題か。 とりあえず、特に面白かった箇所だけ聴衆をつくる―音楽批評の解体文法作者: 増田聡出版…

「きっと何者にもなれないお前たち」のための、あるいは、「負けない」ための、競争論について語ろう(てきとう) -井上義朗『二つの「競争」』を読む-

井上義朗『二つの「競争」―競争観をめぐる現代経済思想』を読んだ。 隠れた良書である。 是非、一読してほしい。二つの「競争」―競争観をめぐる現代経済思想 (講談社現代新書)作者: 井上義朗出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/09/14メディア: 新書購入: 2…

面白いのは、日活ロマンポルノ時代の話だけじゃないぞ!(アキラの伝説とか渡哲也のデビュー期とか) -白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』を読む-

白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』を読んだ。*1 面白いというしかない。 賞も得ているので、本書を読んでいる方も多くいるだろう。スクリプターはストリッパーではありません作者: 白鳥あかね出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2014…

不朽であることを望まなかった魯迅の文章が、今もなお読み継がれることの不幸(大意) -片山智行『魯迅』について-

片山智行『魯迅』(中公新書)を読んだ。 キーワードは、「馬々虎々」。 本書の内容紹介を引用すれば、「欺瞞を含む人間的な『いい加減さ』」)のことであり、「支配者によって利用され、旧社会の支配体制を支えていた」もののことである。 本書は、魯迅を「馬…

「進化しちゃえば大丈夫だよ」から、「僕は新世界の神になる」になるまで。 -嘉戸一将『北一輝 国家と進化』を読む-

『北一輝 国家と進化』を読む。 面白いし、勉強になる所も多かった。*1 外部的な要因(社会的変化等)から彼の主著を読むのではなく、あくまで北の内在的な思想の地点に踏みとどまって読解している。 その結果、彼自身は、(よく言われていたような)思想的…

出版されて10年になるが、まだ古びていないことは喜ばしいことなのか どうか -ななころびやおき『ブエノス・ディアス、ニッポン』-

『ブエノス・ディアス、ニッポン 外国人が生きる「もうひとつの日本」』を読んだ。*1 出版されて10年は経つが、いまだに古びていない。 それは喜ばしいことなのか(反語)。 野村進が書評*2でいうように、「激変する在日外国人社会の現状を知るためには必読…

「警察がRAAを作り、RAAから”夜の女”が出現し、その取り締まりのために婦人警察官が必要とされた」 -池川玲子『ヌードと愛国』について-

池川玲子『ヌードと愛国』を読んだ。 実に面白い。 タイトルは、『ラーメンと愛国』を模したものだろうが、内容としては、『ヌードを通してみた、近現代日本における女性及び女性表象の扱い』みたいな感じである。 本書には、僅かに、出光真子(某出光の経営…

かつてハマスも支援していたイスラエルさん についての基礎知識、的な何か -早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』を読む-

早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』を改めて読んだ。 立場はどうあれ、イスラエルとパレスチナに関心のある人は、読んでおくべき本である。*1 主に、ユダヤ系の知識人たちが、「イスラエル」にどのように向き合ったのか、という内容である。ユダヤとイ…

ホメイニ師の「柔軟さ」と、酒とイスラームと歴史について若干 -高野秀行『イスラム飲酒紀行』を読んで-

高野秀行『イスラム飲酒紀行』を読んだ。 面白い。 時間がないので、特に面白かったところだけ。イスラム飲酒紀行作者: 高野秀行,森清出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2011/06/25メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 102回この商品を含むブログ (34件) を見…

正坐嫌いは全員集合、読んで足と心をラクにしようぜ、といういい本。 -矢田部英正『日本人の坐り方』を読む-

矢田部英正『日本人の坐り方』を読んだ。 正坐嫌いな人は、絶対に読んでおくべき*1。マジで。 著者の主張には一部共感できないところはあるが、「坐る」ことの歴史について、学ぶべきところは多い。日本人の坐り方 (集英社新書)作者: 矢田部英正出版社/メー…

俳句にとって切字は具体的にどれだけ重要なのか、という話。 -金子兜太、いとうせいこう『他流試合』を読む-

金子兜太、いとうせいこう『他流試合 兜太・せいこうの新俳句鑑賞』を読んだ。 これを読めばきっと俳句の面白さが貴殿にも分かる(という煽り)。他流試合―兜太・せいこうの新俳句鑑賞作者: 金子兜太,いとうせいこう出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/04…

演歌は「日本の心」というより、素晴らしき「雑種」なんだぜ、っていう話。 -輪島裕介『創られた「日本の心」神話』-

輪島裕介『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』を読んだ。 超面白い。 内容はタイトル通り、「演歌=日本の心」っていう図式は、「伝統の創造」じゃないの?、それって昔っからじゃなくて「最近」できたものじゃないの?、って内容で…

これは、縛られることのない、「我慢しない」生き方への実践書である。 -田中美津『かけがえのない私、大したことのない私』-

田中美津『かけがえのない私、大したことのない私』を読んだ。 これは、縛られることのない、「我慢しない」生き方への実践書に他ならない。(いや、違うかもしれないが。)かけがえのない、大したことのない私作者: 田中美津出版社/メーカー: インパクト出…

「同化」と「近代化」のはざま、あるいは、知里真志保について貴方がまだ知らないこと -藤本英夫『知里真志保の生涯』を読みながら-

知里真志保について書きたいと思う。 二つの「アイヌ」 知里『アイヌ民潭集』の後記(昭和10年2月18日)に次のようにある。アイヌ民譚集―えぞおばけ列伝・付 (岩波文庫 赤 81-1)作者: 知里真志保出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1981/07/16メディア: 文庫…

敵の物理的なプレッシャーがかかっても、練習通りのことを淡々とこなすのが本物の技術 -千田善『オシムの戦術』を読む-

千田善『オシムの戦術作者: 千田善出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (14件) を見る』を読んだ。 著者の親戚の関係である吉田戦車が、表紙を書いている。 ジャケ買いしちゃうぜ(マテ…

共感だけじゃダメなのよ、あるいは、「聴く」とは何か、というお話。 -六車由美『驚きの介護民俗学』、向谷地生良『技法以前』-

六車由美『驚きの介護民俗学』を読んだ。 確かに驚く。 ふつう、介護と民俗学は結び付かないから。 本書は、サントリー学芸賞を受賞するほどの学者さんが、静岡の老人ホーム(のデイサービスセンター)で介護職員として勤めるようになり、その現場で高齢者た…

読売新聞が、サッカーチームの訪朝を後押しした時代 -在日サッカーが「最強」だったころ- 木村元彦『蹴る群れ』を読む

木村元彦『蹴る群れ』(文庫じゃない方)を読んだ。 とりあえず、興味深かったところだけ。 (本当は、小幡忠義氏や、イルハン・マンスズやサビチェビッチのこととか、書きたかったのだが、まあ、いいや。)蹴る群れ【電子書籍】[ 木村元彦 ]ジャンル: 本・雑…

融通無碍、あるいは、相撲の歴史と「由緒」と「差別」の話 -新田一郎『相撲の歴史』を読む-

新田一郎『相撲の歴史』(文庫版)を読んだ。相撲の歴史 (講談社学術文庫)作者: 新田一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/12メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (10件) を見る 相撲は大好きである。 あれはすぐに決着がつく、素晴らし…